2018年の広告コピー2万6千件を解析 それを元に生まれたコピーは「AI」が主役に
東京コピーライターズクラブが主催するTCC賞応募作を統計的に解析してみたところ…
今やすっかり年末の風物詩となった「今年の漢字」。それと同じように「今年の広告コピー」で時代の空気を切り取ることができないだろうか。
日本中のコピーライターが頭をひねった1年分の広告コピーをデータ化し、クリエイティブとは対極にある、統計的な計算手法に食べさせて、2018年を体現するような広告コピーを機械的に生成する。
東京を中心に日本全国で活躍するコピーライターやCMプランナーの団体である東京コピーライターズクラブ(TCC)とかっこ株式会社との共同プロジェクト「広告コピーマッシュアップ」も今年で4回目を迎えました。
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■広告コピーを材料に機械的に言葉を生成
今回データ解析されたのは、1962年から続く広告賞「TCC賞」で今年の選考対象となった6,958件の広告作品。テレビやラジオのCMから、雑誌や新聞広告、ポスター、ウェブなど、私たちが目にするありとあらゆる形の広告が含まれている。
CMであれば、その中で放たれた台詞も1つの広告コピーとして扱うことで、26,442件の言葉を広告コピーとして分析することになりました。
これらの広告コピーを自然言語処理に掛け、単語ごとに分割、品詞ごとに分類して、昨年との比較で利用頻度が急上昇した言葉を抽出。
さらに、同一企業の広告で使われた「単語」は1カウントにまとめることで、大量出稿した広告主の影響を受けないように考慮しています。
最後にそれを2018年TCC賞応募作品で最もよく使われた広告コピーの文章構造におとしこむという方法で、機械的に複合、編集された広告コピーが生成されました。
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■世相を反映する言葉として急上昇したのは「AI」
このような工程を経て、今年マッシュアップされてきた広告コピーは…
「なんとAIの、広い、深い。」
確かにこの1年、「AI」はスマートフォンの中から、スピーカー型のAIアシスタントまで、急激に生活の中で存在感を高め、「AI」ということばを耳にする機会は激増した気がします。
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■昨年比19倍増に
広告コピーにおいても「AI」という単語の増加率は、前年比で実に19倍も多く使われており、今年の広告コピーのマッシュアップでは、驚きをあらわす「なんと」という言葉とともに、その技術の発展や進歩を意味するかのような興味深いフレーズが生成されました。
広告表現は、基本的にポジティヴに物事を語ることが多いのですが、「AI」という単語が使われた広告を見てみると、
「いつかAIが 上司になったり するのかな。」(サントリー BOSS)
「AIやロボットに、仕事を奪われない人になろう。」(今村総合学園)
のように、便利なだけでは済まない、人間たちの危機感のようなものが表現されている広告も散見されます。
これから「AI」と「人間」は、どんな風に共存していくのだろう?かつてはSF世界の中でしか語られなかったような、そんな疑問が現実的になった2018年の世相が、広告コピーの世界からも垣間見えた気がします。
今回の分析結果の詳細は、こちらからご覧ください。
(文/かっこ株式会社・成田武雄 企画協力/東京コピーライターズクラブ)
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(文/しらべぇ編集部・成田武雄)