給食でビワを食べた生徒11名が救急搬送 危険性を全く認識していない教育委員会も
事故が起きても酷い対応を続ける教育委員会の実態
給食は食文化を伝える食育という意味でも重要だ。もちろんそれは食の安全・安心の上で成り立つもの。しかし、食の安全性をないがしろにしたような事故が起きてしまった。その詳細を探るべく、しらべぇ取材班は関係各所を直撃した。
■ビワ食べて11名の小学生が救急搬送
大田区教育委員会や東京消防局によると、6日午後1時25分頃東京都大田区の松仙小学校から「給食後にアレルギー症状が起きた児童がいる」と119番通報。
児童11人が体のかゆみなどを訴えて救急搬送された。このほかおよそ20人の児童が気分が悪いとか、おなかが痛いとか訴え保健室で治療を受けた。教育委員会は、給食に提供したビワによるアレルギー症状が出たのではないかと見て、原因を調べている。
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■ビワの種には強い毒性
ビワの種には、シアン化合物が含まれている。シアン化合物は非常に毒性が強いもので、一定量を摂取すると急性中毒症状による頭痛やめまい、嘔吐などの症状を引き起こし高濃度であれば死に至ることも。
この危険性を農水省はホームページ上で告知。厚生労働省は取材に対して、「誤ってビワのたねを噛んでしまった場合、腹痛を引き起こす可能性がある」と回答した。
ビワの生産日本一の長崎県。長崎市教育委員会はビワアレルギーの実態を年1回調査。たねの危険性を考慮し、生で出すことはなく、ゼリーに加工して給食に出している。アレルギーの申告があった児童に対しては、ビワゼリーの提供も行っていない。
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■危険性を認識していない教育委員会も
大田区教育委員会はこの事故を受け、原因が特定されるまで給食でのビワの提供をストップ。一方世田谷区教育委員会は取材に対して「大田区と情報共有をしていない。給食でビワの提供は引き続き行う」と回答。
渋谷区教育委員会は「大田区の件を受け一時的にビワの提供を控えるが、ビワアレルギーの児童は一人もいない」と答えた。そして渋谷区教育委員会はビワの種の危険性を認識していなかった。
大田区教育委員会の担当者はビワの提供をストップした件について、「食文化の伝承も大事だが、食の安全・安心が何より大事」と取材に回答。
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■教育委員会への信頼は…
事故が起きても「ビワを給食で提供し続ける」と答えた世田谷区教育委員会。しらべぇ編集部が全国10〜60代の男女1,732名を対象に調査したところ、全体の56.9%が「教育委員会は信頼できないと思う」と回答した。
今回の取材からも、世田谷区や渋谷区など、残念な教育委員会の実態が浮かび上がった。児童・生徒に寄り添った姿勢がないことがリスクにつながらないのか、心配が高まる。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)
全国10代~60代の男女1732名 (有効回答数)