「どん底を見ろ!」 元ロッテ選手、営業マンに転身決めた一言
元千葉ロッテマリーンズ選手の早坂圭介さん。現在は人材派遣会社の営業マンとして働いている。
「引退して、途方に暮れてなにをすればいいのかわからなかったところに、弊社代表の福田が『社会のルールを知れ!』ということで、お店を持たせてくれたんです。今は派遣会社の営業をしています」
2002年、西岡剛(現:栃木ゴールデンブレーブス所属)と同期で千葉ロッテマリーンズに入団した、早坂圭介さん。バー『Baseball 早坂』の店長を経て、現在は人材派遣会社『I.S.B』(横浜市)で営業マンとして働く毎日を送っている。
■俊足で活躍
横浜商工高校(現在の横浜創学館高校)を経て、ロッテに入団。09年には103試合に出場し、12盗塁をマークするなど、俊足を活かしたプレーでチームの勝利に貢献してきた。だが、荻野貴司といった選手の台頭や、怪我に苦しみ、満足のいく成績を残せないまま15年に引退。
引退後、不動産をはじめ、多くの職種にトライするも、定着できずにいた。そんな折、現役時代に知り合っていた、プロ野球界に知り合いを多く持つという同社の福田幸雄会長から声をかけてもらった。福田会長は早坂さんとの初対面をこう振り返る。
「(現役時代の)12年に、圭介が横浜(ベイスターズ)との交流戦で横浜に来たとき。『元気のいい子はいないか?』と知り合いに頼み、呼んでもらったのがはじまり。最初のあいさつは『ふん!』といった感じで、『なんだこいつは』と感じたけど、次第に食事や酒を交わしていくと『いい人間だな』と思うようになって。その後も時間があれば食事するようになった」
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■会長からの一言が転機
早坂さん自身も、徐々に福田会長の人間味に惹かれる。福田会長は引退後の早坂さんに声をかけ、社会勉強としてお店を経営させた。
「会長に相談したとき、『どん底を見ろ』と言われたんです。それまでの自分は、(リスクを)避けよう、避けよう、と守りに入っていた。でも会長から『どん底を見たら後は上の光を見るだけだぞ』と言われ、その頃から自分自身が変わり始めました」
福田会長は、長年プロ野球選手を見てきて、ある考えがあった。長年野球しかしてこなかった彼らは、野球ではプロでも、一般社会のことはなにも知らない。1・2年は社会を学ぶ必要性がある。勉強させなければ、いざプロ生活が終わったときになにをしていいのかわからず、道に迷う者もいるー。
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■5ヶ年計画
「5年かかるだろう、と思ったわけです。最初の2年間に店を持たせたのは、本人が興味を抱いていたことも大きい。掃除、気遣い、あいさつを学ばせて、一般社会の基礎は全て染み込ませた。3年目くらいから『そろそろ会社に入りなさい』と言ったわけです。店が3軒出せるようになったらそのままでもいいと思ったけど、1軒なら将来性がないだろうと。
今後3年間は、経営者になるための勉強をしようと、まずは営業力、管理能力、育成能力をつけようと。あと2年後はプロ野球選手だった名前とプライドを合体させていく。そうすると頑張って来た事が2年後にはマッチングしていくだろうと期待してます」(福田会長)
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■会社には同級生も
会社には、かつて苦楽をともにした仲間がいる。横浜商工高時代、キャプテンを務めていた、古川勇也さんだ。国際武道大ー七十七銀行(仙台市)で野球を続けてきたが、同じように福田会長の目に止まり、入社。年次は違えど、「よきライバルだと思っていて、いい刺激をもらっています」(早坂さん)。
「結果を出している人に、(営業の成功の秘訣を)聞くのが近道ですよね。なんとも恥ずかしさを感じていない。どうやって契約取っているんだろうかと学んでいます。
できる人は思うに、準備ができている人だろう、と気づきました。野球と同じですよね。現役時代と考え方は同じ。現役は(続けようと思えば)できたけど、だましだましが嫌で引退。結果出して、数字がついてくると興味がわきます。(これこそが)社会に出て、身についたものだと思います」
もがき苦しみながらも、周囲に支えられるかたちで、第二の人生を送っていた。
はやさか けいすけ
1984年6月19日生まれ 横浜商工高(現:横浜創学館高校)ー千葉ロッテマリーンズ
2002年にドラフト8位で入団、2015年に引退。
通算成績:286試合に出場。75安打、3本塁打、26盗塁。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)