保健所で涙を流しながら対応する職員も サンドバック状態の逼迫現場に話を聞いた
保健所の職員がサンドバック状態になっている今。国民全体が共有すべきこととは…
20日に新型コロナウイルスの感染者数が、大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客らを含め、累計で20万人を超えた。各地の医療現場が逼迫する中、保健所職員も悲鳴をあげている。
■職員みんなが追い詰められている
埼玉県の草加保健所は、東京に近い埼玉県東部の草加・八潮・三郷・吉川の4市の人口約56万人を、職員40名(保健師12名を含む)でカバーしている。厚生労働省によると、2018年度末時点の人口10万人あたりの保健師数は全国平均が41.9人。
しかし埼玉県は30.3人、神奈川県も23.5人と最下位で首都圏の保健師不足が深刻だ。特に草加保健所管内は、東京との往来人口が多く感染も広がっている地域で、職員たちは過酷な勤務を強いられている。
長棟所長は「24時間対応で、多いときには残業時間が月に150時間。辛辣なことを言われるので、涙を流しながら対応している職員もおり、みんなが追いつめられている」と訴える。
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■サンドバック状態の保健所も
ほかの地域の職員も「保健所は今サンドバック状態で、なんでも自分たちのせいにされる。『死んだら、お前らの責任だぞ。はやく入院させろ』と脅しを受けることもたびたび」とこぼす。
このような切迫した状態について、埼玉県保健医療政策課は「草加保健所には7人の応援を入れている。一時150時間あった残業時間も11月には平均約80時間にまで減少した。それでも激務なのは間違いない」と話す。