菅直人元首相、原発事故を振り返る 東電撤退阻止は「人生で最も重くつらい決断」
東日本大震災から早10年。当時の陣頭指揮を執った菅直人元首相が、ブログで原発事故を振り返る。最後は「脱原発」への思いも新たに。
東日本大震災からちょうど10年となった11日、当時の首相だった菅直人元首相が自身のブログを更新。10年の節目にあたり、改めて当時の緊迫した状況を振り返った。
■あれから10年
菅元首相は「東日本大震災と福島原発事故から満10年にあたって」というタイトルでブログを更新。まずは震災で亡くなった国民への冥福と、今なお故郷へ戻れない被災者へのお見舞いをつづった。
そして、あの凄惨な原発事故に関して、「最悪の場合、東京を含む半径250km圏内、約5千万人の避難を強いられる可能性がありました」と国家存亡の危機だったことを回顧。
「文字通り日本が壊滅することになりかねない、瀬戸際の事態だったのです」と続けると、「最悪の事態」を防いだ裏に、現場の作業員や当時の吉田昌郎福島第一原子力発電所所長の尽力があったと明かした。
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■撤退阻止は「最も重く、つらい決断」
事故発生後、当時の東京電力社長・清水正孝氏が、「職員を撤退させたい」と申し出たことは広く知られている通り。菅元首相はこれを認めないとして東電本社に乗り込んだが、当時、この行動には批判も寄せられていた。
菅元首相はこの行動について、「私はあの時、彼らに生命の危機が生じることを承知の上で、東電の原発からの撤退を阻止しました。今振り返っても、人生で最も重く、つらい決断でした」と当時の心境を告白。
国の危機を救うためとはいえ、作業員へ危険が及ぶこの決断に「人生で最も重い」との強い表現を用いた。