埼玉の町長や職員100人ワクチン優先接種で物議 厚生労働省に見解を聞いた
一部報道で優先接種と報じられた各自治体が反論。
埼玉県寄居(よりい)町の花輪利一郎町長(76)が「医療従事者など」として、新型コロナウイルスのワクチン接種を2回受けて、職員約100人が少なくとも1回は接種を受けたと一部報道機関が報じた。町はこの報道を受けて会見を開くなど、朝から対応に追われた。
■予防接種業務者も接種対象
厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」を発行し、各自治体に通知済み。計90ページに及ぶが、その中には接種順位や医療従事者の詳細な範囲についての記載がある。
優先順位が最も高いのが医療従事者で、その詳細な範囲については「予防接種業務に携わるものも接種対象とすることができる」と書かれている。ただし、直接会場で予診や接種などを行うものを対象とし、「単に送迎や会場設営などを行うものは含まれない」としている。
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■厚労省の指示通り
寄居町健康づくり課長は、「町長も先月18日と今月9日の2回会場で、90歳以上の接種者の介助を行った。町長みずから先頭にたって副町長や教育長も含めた職員たちに、積極的に接種対象者への支援を行うように指示しているところだ」と話す。
「そのために、町長らが先行接種をしたわけで、何ら後ろめたいことはない。厚労省の指示通りにやっている。このことは最初に報じた新聞社の記者にも話したが、まったく書かれていない」と述べた。
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■あくまで手引き通りに
また、この社のグループ会社は「東京都多摩市職員約800人中、300人超がワクチン優先接種」と報じた。多摩市役所秘書広報課は、「優先接種ではなく、医療従事者に含めることができる予防接種業務従事者として受けた。約300人が会場での接種業務に携わる」と話す。
厚生労働省予防接種室は、しらべぇ編集部の取材に対して「手引きにもとづいて各自治体が判断していることに対して、個別具体的にジャッジする立場にはない。あくまでも手引き通りにやっていただきたい」と述べた。
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(取材・文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)