日本人の6割超、Canonカタカナ表記を誤解していた じつは「キャノン」は誤りで…
「Canon」のロゴマークでお馴染みの企業。じつは同社の正式表記「キヤノン」を、日本人の6割以上が勘違いしていると判明したのだ…。
世の中には「あれ、どっちだったかな…」とおぼろげに記憶してしまう事象が多々あるが、その正式名称が誕生した「背景」を知ると、思わず納得してしまうもの。賢明なる読者には既知の事実として映ったり、「細かすぎるだろ!」とツッコミを入れたくなるケースもあるかと思うが…決して少なくない人々が「誤って記憶している事象」の正体について探っていきたい。
今回取り上げるのは「Canon」のロゴマークでお馴染み、日本が誇る大手精密機器メーカーの「正式表記」についてである。
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■「キャノン」の呼び名でお馴染みだが…
まず注目したいのが、全国の10〜60代の男女1,000名を対象としたアンケート調査における「映像機器でお馴染みな企業の正式表記はどちら?」という設問に対する、ネットユーザーの回答結果。
こちらの設問に「キャノン」と回答したのは全体の66%、残る34%は「キヤノン」と、「ヤ」の文字が大きい方を選択している。倍近い差が開いており、やはり「キャノン」表記が正しい…と考えてしまうが、じつは「Canon」のカタカナ表記は「キヤノン」が正しいのだ。
だが、日常生活の会話の中で、同社の「ヤ」の字をわざわざ大きくして「キヤノン」と呼ぶ人物に遭遇した記憶はない…。というか、皆当然のように「キャノン」と発音していたはずである。
そこで今回は「キヤノン株式会社」に、疑惑の社名表記に関する取材を敢行することに。その結果、なんとも意外な事実が明らかになったのだ。
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■担当者の対応に困惑するも…
まずは取材の意向を示すべく電話にて相談したところ、電話口の担当者は開口一番「はい、キャノンでございます」と対応。
「なんだ…やはり、キャノンが正しいんじゃないか」と安堵しつつ談笑し、その後はメールでのやり取りを行なうも…送られてきたメール文面には「キヤノン広報部 ○○です」との表記が確認でき、思わず真顔になってしまう。
これから先、一体何を信じて生きていけば良いんだ…と、世を憂いてしまったが、じつは同社の一連の対応には「何一つ矛盾がない」と判明。そう、同社は「キヤノン」が正式な表記であり、なお且つ読み方は「キャノン」が正しい、という特殊な名前の企業だったのだ。
そこで、大文字の「ヤ」を採用した経緯について確かめる前に、まずは「キヤノン」という社名にどのような想いが込められているのかを確認することに。
こちらの背景について、同社担当者は「Canonの語源には『聖典』『規範』『標準』などの意味があります。これらに由来し、キヤノンが先進の技術とサービス活動において世界の標準となり、また『業界の規範として活動していく』という企業精神が込められています」と、説明している。
1935年(昭和10年)には「世界で通用する商標」として「キヤノンロゴ」が考案され、企業の成長と共に視覚的な改良が加えられ、現在のデザインに至るのだ。担当者は「造形上の強い個性となっている『内側にはねるC』は、そのまま継承されています」とも補足している。
本題となる「キヤノン」表記については、「『ヤ』の字が大きく表記された『キヤノン』が生まれたのは、1947年(昭和22年)に、社名を『精機光学工業株式会社』から『キヤノンカメラ株式会社』と変更したタイミングとなります」「当時の登記簿や株主総会後に発表される営業報告書、朝日新聞に掲載した広告など、全て『ヤ』が大きい表記となっています」と前置き。
続いて「『キャノン』ではなく『キヤノン』としたのは、全体の見た目の文字のバランスを考え、綺麗に見えるようにしたい、という意図からです」 「『キャノン』では『ャ』の上に空白ができてしまい、穴が空いたように感じてしまうため『キヤノン』表記を採用しました」と、その背景について語ってくれたのだ。
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◼︎正しく認識している世代に法則が?
Sirabee編集部では過去にも企業名の正式表記のほか、チェーン名に関する意識調査を多数実施してきた。その際は、概して「男性より女性の正答率が高い」という傾向が見られたが、キヤノンの表記に関しては、男性の正答率が女性を7.5ポイント上回っていたのだ。
中でも30〜50代男性は、いずれも4割前後が正しい「キヤノン」表記で認識している点が印象的であった。こうした傾向について、キヤノン 担当者は「当社の主力商品の一つであるデジタルカメラ購入者の特性と一致していることから、30~50代男性の認知度が高い結果に繋がっているのではないかと考えます」と分析している。
全体の回答率で見ると、残念ながら過半数が「キャノン」を選択していた今回のアンケート調査だが、キヤノンは「より多くの方に正しい表記でキヤノンを認知して頂けるよう、今後も当社の魅力をお伝えし続けていきたい所存です」と、前向きなコメントを寄せてくれたのだ。
同社のロゴマークを目にする機会があった際は、社名およびロゴに込められた「熱いこだわり」を、感じとってほしい。
今回のように細かい部分の表記で、多くの人が誤解していそうな商品名・企業名・チェーン名等があれば、ぜひSirabee編集部に情報を寄せてほしい。日常に隠れている、ちょっとした『気になる』の謎を共に解き明かそう。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
対象:全国10代~60代男女1,000名 (有効回答数)