客を「腹パン」する定食屋、無法地帯と思いきや…　パワーワードの正体が最高だった

立川市の定食店「おいしいごはん屋さん笹」の看板に、驚きの4文字を発見。「どういうコトだよ…」と、ネット中に衝撃が走っている。

グルメ

2023/05/24 04:45

秋山はじめ

会話をする上で重要になってくるのが「同音異義語」の判別。我々は無意識の中で、イントネーションや前後の状況から内容を整理して会話するが、ときには意味を取り違えてしまうケースも起こり得る。

以前ツイッター上では、都内某所にある定食店の「メニュー名」に、驚きの声が多数寄せられていたのをご存知だろうか。

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■店頭幕の「3文字」に目を疑う…

まず注目したいのが、ツイッターユーザー・あなごさんが投稿した1件のツイート。「まごころ！？」とだけ一言、驚いた様子で綴られた投稿には、飲食店の店頭幕の写真が添えられている。

こちらの店頭幕には、美味しそうな数々のメニュー写真のほか「まごころ込めた腹パン定食」という、パワーワードが確認できたのだった。

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■「腹パン」で連想するのは…？

「お腹がパンパンになる」を縮めて「腹パン」と表現したと思われる店頭幕。

しかし「肩パン」や「ワンパン」といった単語が存在することから、「お腹をパンチする」と解釈した人も少なくないだろう。そちらの意味で捉えると「まごころ込めた腹パン」なるフレーズは、とんでもなくシュールである。

前出のツイートは、投稿から数日で2万件近くものRTを記録するほど大きな話題に。他のツイッターユーザーからは「まごころが込められてるからセーフ…？」「笑顔でいきなり腹パンされそう」「腹パンは愛情表現」「まごころ（物理）…？」「愛の拳ってやつか…」などなど、驚きの声やツッコミが多数寄せられていたのだ。

調査の結果、こちらの店頭幕は東京立川市にある定食屋「おいしいごはん屋さん笹」のものであると判明。同店に取材を敢行したところ、「腹パン定食」の意外な事実が明らかになったのだ…。

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■それにしてもこの店主、ノリノリである

取材を快諾してくれた同店の店主に、早速「腹パン定食」の誕生経緯や特徴について尋ねてみる。

こちらの質問に対し、店主からは「お客様の口コミの中に『腹パン定食』という説明があり、そこから頂戴しました。『お腹にパンチを受けるほど美味しい定食』や『お腹パンパンになれる定食』など、様々な意味にとれると思います」との回答が。

じつは同店には「腹パン定食」という品名のメニューは存在せず、手作り料理にこだわった看板メニュー「笹定食」をはじめとする12種類の定食メニューの総称が「腹パン定食」というワケである。

これらの定食は「メイン料理」「茶碗蒸し」「プチデザート」「ご飯、味噌汁、副菜」の4つで構成され、注目すべきは「ご飯、味噌汁、副菜」がバイキング形式となっている点。

店主も「お客様ご自身で、ヘルシーさに配慮した品目のレタスやオニオンスライス、手作りのポテトサラダやナムル、発酵食品の自家製カクテキなど10数種類の副菜からお好きなものを取って、お好きに組み合わせ頂き、お好きな量のご飯とお味噌汁をよそって『自分好みの腹パン定食』の完成となります」と、ノリノリな様子で説明してくれたのだ。

■実際に食べてみると…

店頭にて記者は、スタンダードな「笹定食」を注文。食券を渡した瞬間からゴングが鳴り、ご飯、味噌汁、副菜のバイキング権が付与される。

…とはいえメイン料理が完成するまで、安易に腹を満たすべきではない、というのが、過去に「食べ放題」で何度も満腹を経験してきた記者の持論である。しかしやはり「食べ放題」の4文字が持つ魔力には抗い難く、気づけば体は「山盛りのご飯」と「味噌汁」と「副菜」をたっぷり盛り付けてしまう。

そこにメイン料理のトレーがドッキングされると…もはや「腹パンの楽園」とでも称すべき、壮観な眺めである。いずれのメニューも味付けにこだわっているのが感じられ、驚くほどご飯が進む。無事に完食できたが、見事な「腹パン」状態になってしまった。

店舗の方針について、店主は「忙しい日々の合間でも、美味しいご飯を食べてほしいという思いを胸に、まごころを込めて料理を作っています」とも説明している。客からは「顔が怖い」とイジられるそうだが、じつは天然気質で隠れお茶目な性格の持ち主なのだ。

そんな隠れお茶目の店主は、同店がツイッターで大きな話題となったことについて「出来合いではない手作りのメイン料理と、不足しがちなお野菜を中心に、健康にも配慮したバイキングコーナーでお好きな量のサラダや惣菜を組み合わせて、自分好みの定食を作って頂き、『笹の味』を楽しんで頂けると嬉しいです」「ぜひご来店頂き、『自分好みの定食』をご賞味ください。スタッフ一同心よりお待ち申し上げます」と、笑顔のコメントを寄せてくれている。