徐々にエスカレートする中国人民解放軍の行動 米国はどう対応するのか
シンガポールで開催されたアジア安全保障会議で、中国は米国をけん制。南シナ海や台湾海峡で、米国への挑発をエスカレートさせ…。
米インド太平洋軍は5月末、南シナ海の国際空域上で中国の戦闘機が米偵察機に異常接近し、同偵察機が乱気流に巻き込まれたと発表した。
■相次ぐ中国軍の挑発
米国側が公開した動画によると、中国軍機が米軍偵察機の進路を妨害し、中国軍機が飛んだ後に発生した乱気流に同偵察機が巻き込まれる姿が確認された。
また、今月に入っても米太平洋軍は、台湾海峡を航行していたミサイル駆逐艦チャンフーンに対して中国艦船が船首の約140メートルの場所まで異常接近したと発表した。
中国側の意図は明らかになっていないが、米軍は公海における航行規則に違反していると厳しく批判した。チャンフーンはカナダのフリゲート艦とともに台湾海峡を南から北に向かって航行していた。
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■行動をエスカレートさせる中国
最近の行動は、”少し挑発してやろう”というものではなく、“さあ、そろそろ徐々に行動をエスカレートさせていこう”というシグナルだ。中国は行動をエスカレートさせるなかで、米国がどう反応するかを逐次チェックしている。米国がそれによって強気の姿勢に出るのか、もしくは弱腰の姿勢を示すのか、それが中国の最大の狙いだ。
そのようななか、米国のブリンケン国務長官が今後数週間以内に中国を訪れ、習近平国家主席と会談する可能性があると米メディアが報じた。いつ会談するかは分かっていない。
しかし、偶発的な衝突が起これば人民解放軍が一気に行動をエスカレートさせる恐れがあり、そのリスクを下げる意味でも中国と話し合えるテーブルは持っておきたいというのが米国の本音だろう。これは返って中国を元気づける可能性があり、極めて危ない訪問と言えるだろう。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)