モクモクと広がる液体がまるで雨雲のよう… 「雨虎」と書く海の生き物とは?
2本の角がウサギの耳のように見えることから、中国では「海兎」と呼ばれている。
「あめふらし」と「あめんぼ」は、同じ「あめ」でも全く別の生き物だ。では、漢字で「雨虎」とあらわすのはどちらだろうか。
■「雨虎」は何と読む?
Sirabee編集部が全国の10代~60代の男女1,000名を対象に「雨虎」の読み方に関する調査を実施したところ、全体で52.9%の人が「あめふらし」、47.1%の人が「あめんぼ」と読むと回答した。
「あめふらし」と読む人は男性が53.9%で女性が51.9%。「あめんぼ」と読む人は、男性が46.1%、女性は48.1%という結果に。
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■正しくは「あめふらし」
「雨虎」の正しい読み方は、「あめふらし」。腹足綱後鰓類(ふくそくこうこうさいるい)の無楯類 (むじゅんるい)に属する軟体動物の総称で、ウミウシやクリオネはこの近縁にあたる。
日本の沿岸に分布する種は体長15cmほどのものが多いが、アメリカ西海岸には75cmにもなる大きな種もいるという。草食で、普段は浅瀬を這い回って海藻などを食べている。
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■まるで雨雲が立ち込めるよう
その名前は、アメフラシが敵を威嚇する際などに出す紫色の液が、海中で雨雲がたちこめるように広がる様子に由来すると言われている。また、アメフラシが産卵のために磯に現れるのが梅雨の時期と重なるからだとする説もあるようだ。
英名の「Sea hare」は海のウサギという意味で、頭部にある2本の突起がウサギの耳のように見えることから付いた名だという。中国でも同様な理由で「海兎」と呼ばれているそうだ。
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■「あめんぼ」の漢字は「水黽」
「あめんぼ」は「水黽」と書く。昆虫綱半翅目(こんちゅうこうはんしもく)アメンボ科の総称で、ミズグモ(水蜘蛛)、カワグモ(川蜘蛛)、スイバ(水馬)、ミズスマシ(水澄)などと呼ばれることも。
「あめんぼ」の「あめ」は、体の中央にある臭腺から飴のような甘い臭気を発することから、そして、「ぼう」は体が棒のように細長いことからこの名前がつけられたとされ、「飴棒」と書かれることもある。
脚の先端部から分泌する油と、毛が水をはじく表面張力を利用して水面に浮かんでいるようだが、スイスイと水の上を進む姿はなんとも不思議で、見かけるたびになんとなく目が離せなかったという人もいるのでは…。
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(取材・文/Sirabee 編集部・蒼羽 結)
対象:全国10代~60代男女1,000名 (有効回答数)