注目の強面バイプレイヤー三浦誠己の嘘がつけないナイーブな表情
『ディストラクション・ベイビーズ』ほか、武闘派ヤクザなどで多くの作品に出演する注目俳優・三浦誠己インタビュー
■小市民なスーパーの店員のリアル
刑事やジャーナリストほか、さまざまな役柄を演じているが、『ディストラクション・ベイビーズ』と同時期に公開された『団地』(キノフィルムズ 監督:阪本順治 出演:藤山直美、岸部一徳、斎藤工 ほか)では、藤山直美演じる主人公・山下ヒナ子のパート先で働く、スーパーの主任役。
ヤクザとはほど遠い、エプロン姿の小市民的なキャラクターで、ヒナ子につらく当たる役どころだ。
「台本全体を読んでしまうと、直美さん演じるヒナ子に“かわいそう”って感情が出てしまうので、そことは関係ない、ただストレスが溜まっている、イライラした、変なスーパーの兄ちゃん――というのを出せればいいな、と。
そういう点では、作品全体のことは考えずに、やらせてもらいましたね」
こうして、演じる役柄によってフォーカスを変え、それぞれのリアルを演じる三浦。そのリアルを追求する姿勢には、役者としてのプロ意識に加え、素のままのキャラクターの魅力も。
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■嘘がつけない
「役者をやっているのに、嘘をつけないというか、下手。(笑)すぐ顔や態度に、出てしまうみたいなんですよ。
心のどこかで5・6歳とか、小学1年生くらいまでに、親に怒られたようなこと――嘘をついちゃいけないとか、出したものは片づけなさいとか、そういう人として当たり前のことを大事にしたいと思っている。大人になると、そういうことを意外と誤魔化しながら、生きるようになりますよね。
そういう自分に言い訳しながら、誤魔化しながら、生きるようなことを辞めたい、正直に生きてみたいって思って。だから、役によっては、しんどい気持ちになることもありますよ(笑)」
自分以外の人間になりきる――そんな嘘をつくのが、役者の仕事だ。
嘘をつけない三浦が、観る人の気持ちを汲み取り、そこに映る「リアル」を追求するのは、作品を楽しむ人に「嘘」を感じさせたくない――そんな想いの表れなのかもしれない。