障害も「唯一無二の特性」 東ちづるが舞台『月夜のからくりハウス』にかける思いとは
「まぜこぜの社会」をめざす一般社団法人『Get in touch』が、「見世物小屋のドキドキ感」をコンセプトに届けるエンターテイメント。
■唯一無二の個性をもった出演者たち
2013年に障害者差別解消法が制定されてから、「バリアフリー社会」という言葉はよく聞かれるようになった。
東:障害者差別解消法が制定されて、車イスの方とレストランに行こうと思ったとき、少しずつ行けるお店が増えてきました。一緒に行くとまだまだ大変なことがありますし、旅行などの困難さもありますが。
一方でメディアの中では、そうした人たちは「いないこと」になっている。もしくは、「全盲の歌手だからすごい」と評価される。「目が見えないからじゃない、歌がすごいからそれを見て、聞いてほしい」と思います。
『月夜のからくりハウス』には、錚々たる出演者が集まりました。マメ山田さんは、寺山修司さんや蜷川幸雄さんの舞台の常連で、演劇好きなら誰もが知っているような役者です。
リオ五輪の閉会式で、素晴らしい演技を見せた車椅子ダンサーのかんばらけんたさん、「内蔵や骨格がどうなっているんだろう?」と思うくらい彼女にしかできない踊りを見せるダンサー森田かずよさん、NYのアポロシアターのウィークリーチャンピオンになった全盲のシンガーソングライター佐藤ひらりちゃん…紹介していくとキリがないくらい唯一無二の特性を持ったメンバーです。
このような形で一同に会するのは、みなさん初めてらしく、「あの人とご一緒できるなんて!」というコメントをいただいたのは、プロデューサー冥利に尽きますね。
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■出演者の特性が光るために脚本を修正
今回の舞台で、東はキャスティング・プロデュース、それに、同じくメンバーの尾崎ミオと脚本・演出も手がけている。
東:ダンスや歌や演技など、まぜこぜの特性を舞台だからひとつにつなぐストーリーが要る。脚本は、すでに13稿目に入っています。一般的には、ここまで直すことはあまりありません。
「いつになったら決定稿が出せるんだ…」と思いますが、稽古するたびにそれぞれの方にしかできないことが見つかり、「これをやりたい、こう演じてみたい」という声を取り入れて、本を直しています。
そう聞いて稽古風景を見たくなったしらべぇ取材班は、出演者たちが集まるミーティングを訪れた。