令和初の天皇誕生日 「天皇陛下記者会見」動画とご発言全文書き起こし

23日に60歳の誕生日を迎えられた天皇陛下が、21日に記者会見。その動画とともにご発言の全文を書き起こした。

2020/02/23 00:00



■皇位継承のあり方について

「現在、男性皇族の数が減り、高齢化が進んでいること、女性皇族は結婚により皇籍を離脱することといった事情により、公的活動を担うことができる皇族は以前に比べ減少してきております。そして、そのことは皇室の将来とも関係する問題です。


ただ、制度にかかわる事項については、私から言及することは控えたいと思います。秋篠宮とは、折にふれいろいろな話をいたしますが、内容について言及することは控えたいと思います」


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■60年の人生を振り返って

「即位の年齢については、歴代天皇の中では、より高齢で即位された天皇もおられますが、還暦を迎えるのにあたっては、『もう還暦』ではなく『まだ還暦』という思いでおります。


これまでの60年を振り返ってみますと、幼少時の記憶として、昭和39年の東京オリンピックや昭和45年の大阪万国博覧会があります。


私にとって東京オリンピックは、初めての世界との出会いであり、大阪万博は世界との初めての触れ合いの場であったと感じております。


東京オリンピックでは、私は当時皇太子であった上皇・上皇后両陛下とご一緒にマラソン競技と馬術競技、そして閉会式に出席しました。


断片的な記憶ではありますが、マラソン競技で一生懸命に走っていた円谷選手が、競技場内で英国のヒートリー選手に追い抜かれ、銅メダルを獲得したこと。


そして閉会式において、各国選手団が国ごとではなく混ざり合って仲良く行進する姿を目の当たりにすることができたことは、変わらず持ち続けている世界の平和を切に願う気持ちのもととなっているのかもしれないと思っております。


大阪万博では、日本のパビリオンはもとより、外国のパビリオンも多数回り、世界にはこんなにも多くの国があり、ひとつひとつの国がさまざまな特色を持っているんだということを目の当たりにしました。


成年に達してからの大切な記憶として、まず思い起こすことはオックスフォード大学への留学です。


一人の留学生として、日本にいるときより自由に行動でき、その中でさまざまな人との交流を重ね、イギリス社会を内側から見つめるとともに、外からより客観的に日本を見る視点を養うことができたこと。


そして、研究生活を通じ、水問題への関心のひとつの端緒となった研究論文に取り組むことができたことなど、現在の公務に取り組む姿勢にも大きな影響を与えている数々の貴重な経験をさせていただきました。


このような機会を与えてくださった上皇・上皇后両陛下にあらためて感謝申し上げたいと思います」

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■ご成婚や災害の記憶も
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