東京の都市計画、「世界の都市間競争」を勝ち抜くためにはどうするべきか
【舛添要一『国際政治の表と裏』】再開発が進む東京・渋谷。先週、山手線が運休したのもその一端である。
東京では、1月7、8日の両日、山手線の一部が運休した。めったにないことであるが、これは渋谷駅の改造工事のためである。渋谷駅、ハチ公前広場、スクランブル交差点と、海外の観光客にも有名なスポットであるが、ここ数年、周辺は工事続きである。
それは、この地域を再開発する計画が進んでいるからである。私も都知事として計画を進めたが、たとえば渋谷川を再生するために全力をあげた。私たちが子どもの頃、学校でよく歌った文部省唱歌「春の小川」はこの川である。
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■なぜ再開発が必要なのか
都市は生き物である。時代の流れとともに、住む人も、流行も、科学技術も変化していく。駅の改札口一つをとっても、かつては駅員さんが一枚一枚切符をハサミで切っていたが、今やパスモやスイカのような交通系カードで通過できる。
新しい文化が到来すれば、それを標榜する地域が出てくる。電気街の秋葉原には、私が若い頃は電気製品の部品などを買いに行ったものだが、今やオタクの聖地になっている。そのような変化に適合するためにも、町は変わらねばならない。
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■30年周期で再開発が必要だ
東京には、渋谷、新宿、池袋、大手町、丸の内、有楽町、品川、六本木などの盛り場があるが、各地区は30年毎に作り替えないと、時代に取り残されて劣化してしまう。私は、再開発30年周期を唱えている。
10年前の渋谷は、私が学生だった50年前とあまり変わらず、とくに駅は継ぎ接ぎだらけといった状態で、乗り換えなど不便だった。30年以上も放置してきたからだ。だから、30年に1度は再開発する必要があるのである。私たちが住む家も30年も経つとリフォームが必要になるのと同じである。
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■100年先も輝く東京であるために
各盛り場を30年周期で作り直さないと、利便さや効率を失い、劣化してしまう。そうなってしまうと、東京全体が活力を失ってしまう。つまり、これから100年後にも東京が輝く大都市であるためには、盛り場を次々と再開発していかねばならないのである。
渋谷の次は新宿の番である。私が都知事のときに、その方針を指示したが、すでに青写真ができて計画が始まり、デパートなどが移転し始めている。また、池袋も再開発の時期であるが、地元の動きが遅く、まだ動き出していない。
逆に、品川駅周辺は、新駅もできて再開発が始まった。東京駅も丸の内側が終わり、八重洲口の再開発に着手している。虎ノ門地区も環状2号線の開通に伴い、槌音が高くなっている。
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■再開発には官と民の協力が不可欠だ
東京の都市開発の最大の特色は、官と民の協力である。渋谷駅周辺の開発は、東急グルーブが深く関わっている。新宿駅は、小田急、京王グループ、JRなどが東京都と連携している。鉄道会社の協力がなければ、駅中心の開発は不可能だからだ。
東京駅、大手町、丸の内、有楽町地区は三菱地所や三井不動産が中心になって進めている。また、虎ノ門地区は、森ビルや住友不動産が都や区に協力している。
ところが、大学がたくさんあるお茶の水・本郷地区は、上記のような民間会社が不在である。そのために、一向に再開発が進まないのである。