東京の都市計画、「世界の都市間競争」を勝ち抜くためにはどうするべきか
【舛添要一『国際政治の表と裏』】再開発が進む東京・渋谷。先週、山手線が運休したのもその一端である。
■官民協力で税金を使わずに、再開発ができる
都市の再開発には莫大な費用がかかる。地方公共団体や国が民間会社と協力することによるメリットは、税金をあまり使わずに済むということである。それは、規制緩和という手を使うからである。
役人は、とにかく様々な規制を作りたがる。それは、たとえば環境保護のためで、もし規制が無ければ、地球温暖化ガスなどの有害物質を撒き散らすものが出てくる。その意味ではルールが必要だが、あまりにも細かい規制が多すぎる。
そこで、この規制を緩和し、その特典を民間会社が得る見返りに、公園の整備などを官に代わって行ってもらうのである。たとえば、建物の高さ制限である。現在の建設技術なら高層ビルも大丈夫であるので、これを緩和し、その恩恵を受けた民間側はビル周辺の公共スペースの整備を行うのである。
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■カネが無ければ知恵を出せ
官にお金が十分にあれば問題はないが、今は国も自治体も財政が厳しい。そこで、規制緩和という手法を多用して民間会社に協力を求め、限られた予算で都市の再開発を行うべきである。
これからは、国と国の間の競争よりも、世界の大都市間の競争が熾烈になる。森記念財団都市戦略研究所が発表した2022年の世界の都市ランキングでは、1位ロンドン、2位ニューヨーク、3位東京、4位パリ、5位シンガポールである。東京はさらに頑張らねばならない。
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■執筆者プロフィール
Sirabeeでは、風雲急を告げる国際政治や紛争などのリアルや展望について、元厚生労働大臣・前東京都知事で政治学者の舛添要一(ますぞえよういち)さんが解説する連載コラム【国際政治の表と裏】を毎週公開しています。
今週は、「東京の都市計画」をテーマにお届けしました。
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(文/舛添要一)