【仕事に使える】最高のアイデアを出す!「ゴールデンドロップ」を絞り出す習慣とは?

2015/05/06 12:00


しらべぇ0507ゴールデンドロップ2©iStock.com/LuminaStock

アパレル業界でかれこれ20年ほど、様々なデザイナーと一緒に服をつくっているが、彼女(彼)らには2つのタイプが存在する。

毎シーズン出しきるタイプと、ネタをとっておくタイプだ。

デザイナーも人間だから、毎年毎月決められた型数をキッチリ企画しろと言われても、たとえば100型企画しなきゃいけないのにどうしても80型しか出てこないシーズンもあれば、ノリノリで120型くらいアイデアが出てくるときもある。

こんなとき、よくあるのが「100型ノルマなんだから余った20型は来年に取っておこう」という考え方。

なるほど、確かに来年は80型しか思い付かないかもしれないのだから、一見とても合理的なように思える。だが、この方法はあまりお薦めできない。少なくとも、成長過程にある若手デザイナーのうちはできるだけ避けてほしいやり方だ。


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■これ以上は絞れないもっとも美味しい一滴「ゴールデンドロップ」

しらべぇ0507ゴールデンドロップ©iStock.com/illustrart

本当に素晴らしいデザイン、アイデアは、ときとして「121型目」「81型目」にこそ舞い降りてくる。

「もう限界!これ以上なにも思い付かないよ」そう思ったその先に、わが身を絞り上げて出し尽くして出し尽くして、最後の一滴を絞り出したその後にこそ、本当の最後の一滴が(もしかすると数滴が)出てくるものなのだ。

茶葉から染み出る紅茶の、最後の最後、もうこれ以上は一滴も絞れないというラストドロップのことを「ゴールデンドロップ」と呼び、紅茶愛好家はこれこそがもっとも美味しい一滴だと称する

デザイナー諸氏には、どうか自身のゴールデンドロップを絞り出すことを習慣としてほしい。120型思い付いたときには、そこで満足せずさらに”121型目”を絞り出す。そしてその全てを、残さず上司なり会社なりに提出してしまうのだ。

彼らはそこから比較検討して最善の100型を選び出すだろうし、もしかすると120型全てを製品化するように計画修正するかもしれない。いずれにせよ、より良い結果を会社にもたらすことになるだろう。


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■アイデアは小出しにしてはダメ!

しらべぇ0507ゴールデンドロップ3©iStock.com/ZigaC

80型しか思い付かないときには、そこで諦めずにあと1型を、どうにか絞り出せたらさらに1型を……と限界を超えて絞り出してみる。

結果として85型しか思い付かなかったとしても、決して「前回の余り20型取っておけばよかったな」などと考えてはならない。

それは自己のアイデアの泉を古い土で埋め立ててしまう行為であり、いずれは枯れるかもしれないその泉の寿命を、自ら縮めていく行為に他ならないからだ。

百歩譲って、もう枯れる一方だと確信したベテランデザイナーであれば、生業としてのデザイナー人生を延命するために出し惜しみするのも致し方ないかもしれないが、これからの延び代に無限の可能性を秘めた若手デザイナーには絶対に止めてほしい。

デザイナーとして生きていくつもりなのであれば、自分のアイデアの泉はまさに生命線であり、あなたの「命の泉」に他ならない。

せっかく涌き出たアイデアを、押さえつけるように小出し小出しにしていたら、すぐに詰まって出が悪くなることは容易にイメージできるはずだ。


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■クリエイティブな仕事全般に通じる!

しらべぇ0507ゴールデンドロップ4©iStock.com/BrianAJackson

これはなにも服のデザイン型数だけに限った話ではない。新しいデザインアイデアや、商品のネーミング、ブランドコンセプト等々、デザインや企画といったクリエイティブな仕事全般に通じて言えるのではないだろうか。

筆者はファッション専門学校で講義をする際にも、この考え方を学生に意識させるように心がけている。デザインの技術や知識は働きながらでも覚えられるが、常にゴールデンドロップを絞り出すという習慣は、日々の業務に忙殺されるようになってからではなかなか身に付けるのは難しいからだ。

当然のことながら、この原稿もさんざんアイデアを出し尽くして絞り出した末のゴールデンドロップである。面白いかどうかはまた別の問題ではあるが。

(文/久保田フランソワ

コラムファッションデザインアイデア
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