「飯テロ」要注意!任侠×グルメ、異色テーマの1冊『侠飯』
「飯テロ」。
ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなど数多くあるSNSで、昼食時、或いは深夜に美味しそうな画像を発見してしまったことは、誰しもが経験しているだろう。
そんな時、我々は時にヨダレを垂らし、また、訳もなく怒りを覚えたりしてしまうもの。
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■これぞ『飯テロ』本!
福澤徹三著『侠飯』は、まさにその様な状態をあまりにも上手く(旨く?)表現している。
主人公の若水良太は就職活動に悩む大学四年生。オタク友達・米倉信也や、腐女子ではあるものの惹かれてしまう結城春菜、何だか腹のたつ金持ちリア充の塩之谷洋介と共に、ぼんやりとした生活を送っていた。
そんな中、良太はヤクザ同士の銃撃戦に巻き込まれてしまう。そこで知り合ってしまった組長の柳刄竜一と、なぜか良太の狭い部屋で同居することになる。
しかし柳刄の得意とする料理に、そのうち魅了され…。
それにしても本の見出しを読むだけで、皆、垂涎してしまうであろうと感じる。
『クリスマスイブにチキンはいらない』『レトルトカレーがフライパンひとつで絶品になる』等々。
また「組長」というだけあって、変わったタイトルをしたものも見受けられる。例えば『ゴミ袋とレンジで作る刑務所の飯』、『飯は冷やに限る』。
ストーリーに合わせ、実はそれぞれには意味があるのだが、取り敢えずこの本は確実に「夜飯テロ」を狙っていることには間違いない。
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■ドラマでも『飯テロ』
作者が文庫版として書き下ろした本作品は、『侠飯〜おとこめし〜』として、『孤独のグルメ(原作・久住晶之、作画・谷口ジロー)』などのいわゆる「グルメ番組」を得意とするテレビ東京で、7月15日からドラマになって放送される。
柳刄役の生瀬勝久や、良太を演じる個性派俳優の柄本時生が、どのようにこの作品を造り上げていくのか見ものだ。
(文/芥川 奈於)