性加害問題のジャニーズが紅白に出られなくなりNetflix・AmazonからBanされる日【常見陽平 緊急寄稿】

ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長の性加害疑惑問題をめぐり、「外部専門家による再発防止特別チーム」が29日に会見を行った。報告書をNetflix・Amazonなどの外資系プラットフォーマーが重大な人権問題として認識した場合…。

2023/08/30 12:30

ジャニーズ事務所

ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏(故人)の性加害問題がBBCのドキュメンタリーを通じ報じられ、元ジャニーズJr.を中心としたこれまでの被害者が告発し、社会問題化した。この度、外部の特別チームによる報告書が発表され、記者会見が行われた。

記者会見の模様についてはすでに報道された通りだが、各紙の報道の温度差、切り口などからこの問題の根深さが明らかになった。



 

■朝日新聞が大々的に報道

8月30日付朝刊において、全国紙でもっともページ数、文字数を割いたのは朝日新聞である。一面トップ記事に据えた上に、2面、さらには社会面で報じている。論説委員・編集委員などが加わり、多くの記者がこの問題を取り上げている。

200回以上被害を受けたという元ジャニーズJr.の大島幸広氏のコメントが写真入りで紹介されているほか、調査のきっかけの一つとなったBBCによるドキュメンタリー番組「J−POPの捕食者 秘められたスキャンダル」の制作を担当したモビーン・アザー記者の「虐待のサバイバー(生存者)たちに正義をもたらす動きのなか、正しい方向に進むための重要な一歩だと感じている」「サバイバーたちが勇気をもって声をあげたからだ」「この虐待は単に喜多川氏の犯罪というだけでなく、(日本の)不処罰文化をめぐる問題でもある」(原文ママ)というコメントを紹介し、被害者への補償、ジャニーズ事務所の抜本的変化、さらには社会の変化を強調した。

芸能界に詳しいジャーナリスト、松谷創一郎氏の「事務所が設立した特別チームが、ここまで踏み込んだ言及をするという姿勢に驚いた」「ただ退所したタレントを干すなど、共演者の起用をめぐるジャニーズとメディアの共犯関係への言及がないことは残念だ」というコメントを有識者の声として紹介している。


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■踏み込んだ批判を行う読売・産経

朝日新聞以外の全国紙では、毎日新聞も1面トップ記事で取り上げており、2面でも紹介している。日経は予想どおり、社会面で扱っただけだった。人権問題を熱心に報じてきた東京新聞は意外にも社会面のみで、小さな扱いだった。

ページ数では朝日に劣るものの踏み込んだ批判を行っていたのは、読売新聞、産経新聞だった。読売新聞はハラスメント問題に取り組む小野山静氏(弁護士)、メディア研究者の影山貴彦氏(同志社女子教授)を有識者コメント欄に起用した。

小野山氏は喜多川氏個人の問題としてではなく、事務所による隠避が被害を招いた点、強者・弱者という一方的な権力構造が被害の潜在かを招いた点などに報告書は触れていると言及し、人権が尊重される世の中になるための第一歩になる報告書として評価した。

一方で、手厳しいのが影山氏だ。優良可でギリギリの「可」と断じ、組織全体の罪を指摘。屋号変更、解散などを提言した。非常に手厳しい指摘だといえる。


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■「芸能界の歴史的転換点」

産経新聞は企業統治に詳しい大和総研の鈴木裕主席研究員、アイドル評論家の中森明夫氏のコメントを紹介している。

鈴木氏は藤島一人株主体制の問題を指摘。経営陣の刷新だけでガバナンスの改善は期待できないとした。中森明夫氏は、日本芸能界の歴史的転換点と評価し、テレビ局などのメディアの責任、未熟な若者を育てるという日本のアイドル文化に潜む問題などを指摘した。

これまでの芸能界、ジャニーズ事務所並みかすると「踏み込んだ」内容なのかもしれないが、影山氏、鈴木氏のような文字どおり「踏み込んだ」批判も実に有益だ。報道を読み比べるだけでも、問題の根深さがわかる一方で、芸能界、メディアのズブズブ体質が明らかになる。

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■問題浄化に必要な外部の力
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