尾野真千子主演の映画『茜色に焼かれる』 15歳の新人俳優・和田庵が息子役に抜擢
尾野真千子が石井裕也監督の映画『茜色に焼かれる』に主演。時代に翻弄されながらも懸命に生きる母子を描く。
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■堂々と愛と希望をテーマに
石井監督:とても生きづらさを感じています。率直に言ってとても苦しいです。悩んでいるし、迷っています。明らかに世界全体がボロボロになっているのに、そうではないフリをしていることに疲れ果てています。コロナ禍の2020年夏、しばらく映画はいいやと思っていた矢先、突然どうしても撮りたい映画を思いついてしまいました。
今、僕がどうしても見たいのは母親についての物語です。人が存在することの最大にして直接の根拠である「母」が、とてつもなくギラギラ輝いている姿を見たいと思いました。我が子へのあふれんばかりの愛を抱えて、圧倒的に力強く笑う母の姿。それは今ここに自分が存在していることを肯定し、勇気づけてくれるのではないかと思いました。
多くの人がむなしさと苦しさを抱えている今、きれいごとの愛は何の癒やしにもならないと思います。この映画の主人公も、僕たちと同じように傷ついています。そして、理不尽なまでにあらゆるものを奪われていきます。
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■堂々と愛と希望をテーマに
石井監督:大切な人を失い、お金はもちろん、果ては尊厳までもが奪われていきます。それでもこの主人公が最後の最後まで絶対に手放さないものを描きたいと思いました。それはきっと、この時代の希望と呼べるものだと思います。
これまでは恥ずかしくて避けてきましたが、今回は堂々と愛と希望をテーマにして映画を作りました。と、まあ、こうやってつらつら書きましたが、尾野真千子さんがその身体と存在のすべてを賭して見事に「愛と希望」を体現しています。
尾野さんの迫力とエネルギーに心地よく圧倒される映画になっていると思います。尾野さんの芝居に対する真摯な姿勢には心から敬服していますし、共に映画を作れて、とても幸せに思っております。
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(文/しらべぇ編集部・しばたけろこ)