『Road 96：Mile 0』クリアレビュー、最高のインディーゲーの前日譚　富裕層の少女と貧困街の少年の“決断”の物語

4日にNintendo Switch、プレイステーション5、プレイステーション4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC向けにダウンロード専用ソフトとして発売開始された『Road 96: Mile 0』。早速クリアした記者が、ネタバレなしでレビューしていくぞ。

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■大賞を受賞した名作の前日譚

『Road 96: Mile 0』は、2021年8月16日に発売された国外逃亡ADV『Road 96』の前日譚として発売された作品。『Road 96』は、かなり高評価を受けている作品であり、2021年11月6日に放送されたインディーズゲーム情報番組『INDIE Live Expo 2021 Winter』にて、第2回「INDIE Live Expo Awards」の大賞を受賞していた。

『Road 96』は、崩壊の危機に陥った独裁国家・ペトリアからの脱出を目指す少女が主人公。旅の最中に様々な悩みや思惑を抱えたキャラクターらと出会っていく。『Road 96: Mile 0』の主人公の1人であるゾーイは、この旅の中で出会うこととなるヒロイン的なキャラとなっており、前作ファンの記者としてはかなり嬉しいサービスと言える。

また『Road 96』は、1人の主人公だけを操作するのではなく、1人脱出させたら次の主人公といった形で展開され、最後はペトリアの大統領を決める「選挙の日」までの約3ヶ月間を数々の主人公を通して見守る…といった形で展開される。『Road 96: Mile 0』ではその前日譚として独裁者・タイラックの「出馬表明」を含めた『Road 96』の物語開始の1ヶ月前が舞台となっていた。

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■身分差がある2人の友情と決断

『Road 96: Mile 0』の良さは、前作に引き続き社会的なストーリー性の深さだ。同作の主人公・ゾーイは街の富裕層の出身で大臣の娘、もう1人の主人公であるカイトは労働者階級でアパートの中でも「半地下」の住居に住んでいるレベル。

2人は階級格差はあれど親友なのだが、カイトは国外脱出へ向けてテロ組織・黒の旅団との繋がりを持ち始めてしまう。次第に国や大臣である父が隠しているテロ事件の真相に迫ってしまったゾーイ。この2人の決断によってストーリーが大きく変化していく。

「決断」の重要性は前作と変わらないのだが、今作では規模感が小さくなったもののより濃密になった印象。個人的には、前作の主人公がゾーイと出会うまでにどのような道を歩んできたのかが見れたのは嬉しかった。

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■改善点とイマイチな点

肝心なゲーム性だが、前作『Road 96』に比べて大幅に改善されている。前作では「The インディーズゲーム」といった感じで、操作感は良くないし、翻訳もガバガバだったのだが、今作はこれらが改善されており、明確な進歩を感じた。

一方で、前作ではトランペットを吹く音ゲーや、ネイルガンで追手を巻くTPS視点でのシューティングゲームなど、様々なミニゲーム要素があったのだが、今回はアクションやQTEをしながら2人の心の中や回想をしていくゲームが計10回行なわれ、それにそってストーリーが進行されていく。

個人的には今回のミニゲームは程よい難易度で悪くなかったのだが、落ち着いて過去の回想を見られなかったのだが残念だったというのが正直なところ。

また、記者はNintendo Switch版でプレイしていたのだが、前作同様にかなりロードが長く、ゲームプレイ自体がかなり重かったのも気になった。

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■他にはない面白さ

ところどころ気になる要素はあるものの、主人公の運命を握って決断していくゲーム性は、他にはない面白さを楽しむことができるためやはり面白い。

上でも軽く紹介したが、『Road 96』に登場したキャラクターらが度々登場することもあり、前作ファンとしてもかなり嬉しいサービスが満点。もちろん『Road 96: Mile 0』からでも十分楽しむことができる作品となっている。

現在、Steamでは49％オフでゲームを販売中。このタイミングで遊んでみるのもいいだろう。

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（取材・文／Sirabee 編集部・北田力也）