あおちゃんぺ主催「ガールズパレード」への批判や揶揄が的外れである理由 男性参加者が多かった背景とは

18日、あおちゃんぺの呼びかけで東京・渋谷にて開催された「ガールズパレード」。一部に見られる批判に対してSWASH代表の要友紀子さんが反論する。

2023/06/21 15:15



 

■韓国でも6千人が集結

韓国

現代の韓国でも、性売買特別法(2004年施行)反対の国会前集会には6,000人のセックスワーカーたちが集まり、その後も10年以上に渡り毎年当事者女性たちがソウル市街でデモや集会を行なった。

このときは韓国内12地域のセックスワーカー約7,000人からなる「ハント女性従事者連盟」がオーガナイズした。

性に関わる仕事をする女性たちはパレードやデモに集まらないとか少ないというのは嘘で、そのような嘘を広めようとする人達は、当事者の意見をないことにしたいだけだ。


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■短い告知期間と限定的なテーマ

あおちゃんぺの場合、一個人が単発的に突発的にたった1週間でTwitterのみで呼びかけて準備し、誰でも参加可ではあったが、特に彼女はグラビアやモデル等のお仕事をしている女性たちに向けて参加を呼びかけることに注力していたと思う。

しかも埼玉の撮影会中止問題というローカルすぎる、仕事の幅も限定的すぎるテーマでだ。

そんな条件のもとで、よく30人近くも女性たちが集まったと思うし、この条件でなかなか簡単にはできないことだと思う。ほめることはあっても、決して貶すことではない。


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■男性参加者が多かった背景

今回の水着撮影会中止問題で、コスプレ撮影等にも波及するのではないかという危機感も幅広く共有され、特に男性のパレード参加者増に繋がったのは、コミケなど一大文化圏で、何十年も前からコミュニティ構築がされてきているからだろう。

組織化されていなくても、コミュニティ構築(※)されていれば、どんなコミュニティでも動員力があると思う。

(※私なりの「コミュニティ構築」の意味は、コミュニティの人々の間で歴史や文化を共有しバトンを受け継ぎ発展させてきたという実感や経験、コミュニティに助けられたり貢献してきたことなどがたくさん言葉にされていること、有形無形に残っていること)


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■性産業は当事者性の短さが課題

一方、私のライフワークである性産業のコミュニティ構築はどうだと言われば、これもどこからみるかによって様々な見方があるだろう。

私がすぐ思いつくこととして、一定のコミュニティ構築を達成している他のマイノリティや他の被差別のコミュニティと性産業が違うところは、性産業に従事する人々の勤続年数が非常に短いということである。

この当事者性の短さが、差別と闘うアイデンティティ形成において影響があると思う。その他考えられる要因については、今後分析を進めていきたい。


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■今後の不安へのオルタナティブ

以上は、活動家である筆者の、”市民的動員”という、これまた偏った狭い関心から言っていることであって、あおちゃんぺ本人の関心はもっと幅広い。

パレード終了後のこのツイートからもわかるように、水着等の仕事の場や機会が今後減るかもしれない不安な状況に対する、あおちゃんぺなりのオルタナティブとしてのパレードでもあったと思う。

実際彼女は、パレードやアフターパーティーに参加する女の子たちにギャラを払うためにお金を700万も集めた。水着撮影会中止への反対運動としてだけみてコメントするのも、筋違いかもしれない。

仕事提供の場として成功させ、たったひとりですごい偉業だと思う。パレードのそういう側面もちゃんと見ている人はどれくらいいるだろうか。


■参加男性への差別をやめよ

最後に、もうひとつ呼びかけたいことがある。パレードに参加した男性たちに対する差別的なツイート、パレードを揶揄するツイートが散見される。

中には、いじめで使うような言葉の数々が浴びせられていたり、彼らを犯罪予備軍のように言う人もいた。普段、様々な属性に対する差別に反対する人であれば、属性と犯罪を疑うような言葉を安易に結びつける言い方には慎重になってほしい。

いじめを誘発するような言葉を発するのもやめてほしい。そこにいるのは、心を持った人間であることをどうか忘れないでほしい。


■執筆者紹介

要友紀子

要友紀子:セックスワーカーの健康と安全のために活動する団体SWASH代表 。アジアのセックスワーカー団体のネットワーク組織APNSW運営委員。

2018年、『セックスワーク・スタディーズ』(SWASH編、日本評論社)を仲間たちと出版。2020年、『社会学評論』に寄稿。2022年、立憲民主党から参院選に出馬し落選。

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(寄稿/SWASH代表・要友紀子

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