銀座で目撃された謎のマネキン、ポーズに強烈な見覚えが… 「春麗の元キック」と話題に

都内のショーウィンドウに飾られた独特なポーズのマネキン。一部界隈からは「春麗にしか見えない」とどよめきが起こっている。

2023/12/16 04:45


 

■コメ兵、完全にノリノリである

アグレッシブなマネキンを使用した経緯について、コメ兵担当者は「KOMEHYO GINZAでは、年間を通して『銀座の街のON STAGE』に見立てたウィンドウの展開を設定しており、前回のテーマは『Circus』(サーカス)でした」と説明する。

続けて「サーカスの様子を演出してクリスマスなど冬のイベントへの期待感を高めた展開にする際、アクロバティックな動きのあるマネキンを使用することでよりサーカス感を出し、尚且つ街中の人々にも注目されるように…といった経緯で使用しました」と、採用背景を解説してくれたのだ。

マネキン

ちなみに11月23日からディスプレイが変更されており、現在は同地で「元キックマネキン」を確認できなかった。前出のsekiさんのポスト投稿が23日当日の夜だったことを考えると、運命のようなものを感じてしまう…。

なお、同マネキンは2018年頃に新宿の「KOMEHYO SHINJUKU」ウィンドウでも一度、使用したことがあるという。


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■メーカー本社、入り口から普通じゃない…

コメ兵がマネキンを採用した背景は分かったが、その上で気になるのが「どのような経緯で件のマネキンが誕生したのか」という点である。

そこで続いては、KOMEHYO GINZAから歩いて数分の場所にあるトーマネ本社へと足を運ぶも…入口にあるのは謎すぎる顔のオブジェ。

マネキン

中に入ったら、次は自分がこのドアノブにされてしまうのでは…という緊張感に襲われたが、真面目そうなスーツの人物が普通に入館していたため、彼を信じて後に続くことに。

マネキン

入口周辺にもダイナミックなマネキンが展示されており、ひと目見て「間違いなくこの会社だ」と確信した思いであった。

マネキン

つかみはバッチリ(?)の状況で現れたトーマネ担当者は、話題のマネキンが誕生した根底には「見たことないものを創っていこう」という思いがあると説明する。

「元キック」をはじめとするダイナミックなポーズのマネキンは2016年末に発表された「パルクール」というシリーズ。こちらは人が持つ身体能力をフルに活用する、フランス発祥の同名の運動が由来となっている。

しかし通常、マネキンメーカーというのはダイナミックなポーズのマネキンを製造したがらないもの。こちらについては、使い所の難しさから「レンタルされにくい」という理由が第一に挙げられる。

マネキン

かと言って、同業他社がメインで製造する汎用性の高い「直立不動」のマネキンだけを製造しても、価格競争という負のスパイラルに巻き込まれてしまう。そこでトーマネでは「可視化」に全力を注いだ、競合他社とは異なる「唯一無二」のマネキン製造に乗り出したのだ。


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■「元キック」完成までそんな経緯が…

特に力を入れたポイントについて、トーマネからは「通常、店頭でのマネキンは裸の状態では使用しません」「そのため、見えない(服を着ている)部分は多少雑でも構わないのでは…という意見もありましたが、見えない部分をこだわることこそが技術のアピールに繋がると信じ、全ての部位をこだわり抜いて製造しております」と、ものづくりメーカーとしての矜持を感じさせるコメントが。

中でも話題の「元キックマネキン」には相当の苦労を重ねており、もともと社員の間では「マネキンを片手で立たせるのは無謀」「力が集中して腕部分が割れてしまう」という、暗黙の認識が存在した。

しかし、普段は温厚な人物である同社の代表が「絶対に片手で立たせないとダメだ」「このマネキンが完成できなければ、それはトーマネではない」と、断固主張。

マネキン

かくして社員や造形師が一丸となり、無理ゲーと思われた「元キックマネキン」が完成したのだ。

同シリーズを手がけた造形師は「今回話題となったマネキンはパルクールで『ヴォルト』と呼ばれる、障害物を飛び越える動きをモチーフにしています」「他にも高いところから飛び降りる『ランディング』などをモチーフにしました」と、各マネキンの特徴について説明する。

マネキン

また「リアルに作るだけでは面白くない」という思いから、漫画的要素の導入に辿り着いたという。例えばフランスの漫画『バンド・デシネ』の要素や、日本の漫画『攻殻機動隊』で主人公・草薙素子が飛び降りるシーンなどにインスパイアを受けているそうだ。

一見すると「単なるイロモノ」として見られそうなマネキンだが、その躍動感は着用した衣類の「伸縮性」といった実用性をアピールできる長所が存在する。

マネキン

こちらを踏まえた上で、トーマネ担当者は「他のメーカー様には躍動感のある一瞬を切り取ったマネキンはほとんどございません」「そのため、同シリーズは自社のブランディングができており、動きを可視化したモデルが欲しいという明確なプランや、マネキンのインパクトに負けない商品をお持ちの会社様に、ご愛顧頂いております」と、市場人気について説明していた。

また、今回のXにおけるポストでマネキンに注目した人々に対しても、「我々の想像力と技術力を最大限に駆使したシリーズとなり、衣類を扱っている方々以外からも様々なコメントをもらえるのは光栄なことです。造形作家も、非常に喜びを感じております」「ぜひ今後の展開にもご期待ください」とのコメントが寄せられている。

街中で変わったポーズのマネキンを発見した際は、インパクトに注目するだけでなく、その「誕生背景」を想像してみると、新たな発見があるかもしれない。


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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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