飲食店オーナーたちが悲痛な叫び…あまりに酷すぎる予約のドタキャン事情

2015/01/28 18:00

2014年の12月末、あるレストラングループのトップを務める男性のブログがSNS上で広く拡散された。忘年会シーズン真っ盛りの時期に更新されたそのブログに書かれていた内容は、60名で貸切の予約をしていた団体がなんの連絡もなしに当日来店しなかったことへの悔しい思いだ。お店側から幹事に連絡をとったものの「無視」を通されたという。

多くの飲食店にとって、予約の“ドタキャン”や前述のような所謂“バックレ”は日常茶飯事のようだ。詳しくは後述するが、まずは、しらべぇ編集部が20代から60代の男女1500名を対象に行った以下のアンケートをご覧いただこう。(数字は、「あてはまる」と回答した人の割合)

●飲食店の予約を、当日キャンセルしたことがある

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全体:16.2%

(年代別)

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20代:14.7%
30代:18.7%
40代:15.0%
50代:19.3%
60代:13.3%

全年代で1割から2割が「あてはまる」と回答した。数字自体は少数だが、予約を信頼し大切にするお店側にとっては、決して「少数」といえる数字ではないだろう。飲食業は、これだけの“ドタキャン”とこれまで向き合ってきたというわけだ。



 

■お店からの悲痛な声

このような数字を受け、昨今の予約ドタキャン・バックレ事情について、都内の飲食店・飲食業界に勤める3人の男性にヒアリングを行った。

・Tさん、30代、23区内でレストランバーを2店経営
・Yさん、40代、新宿区で居酒屋を1店経営
・Kさん、30代、渋谷区で居酒屋の店長として勤務

― ドタキャンやバックレは、どれくらいの頻度であるか?

「事前予約は10組に1組。前日や当日の予約は5組に1組という印象です」(Tさん)

「週末だと、1日に1組は必ずいますね」(Yさん)

「うちはまだ少ないほうだと思いますが、近隣のお店の話を聞いてると、5日に1回くらいは『団体さんがドタキャンしちゃったよ』という声を耳にします」(Kさん)

― どんな人がドタキャンやバックレをする印象?

「やっぱり、前日や当日に電話してきて、人数がはっきりしてなくて、コースを拒否するお客様ですかね。長年この仕事やってると、電話の声色を聞きながら『この人危ないな』って分かるようになります」(Tさん)

「男性の2名予約かな。まぁ、その人もドタキャンされてるんだろうなって想像つきますけどね(笑)」(Yさん)

「電話してきた番号と予約時に言ってもらう番号が違う人、非通知で電話してくる人、“03”の番号を言う人、ですかね。電話番号は、もはや信頼ならない時代です」(Kさん)

― 「これは酷い」と思ったドタキャン・バックレエピソードは?

「こないだの忘年会シーズンに、貸切を前日ドタキャンされたことがありました。しかも、前日の深夜、閉店直前の時間です。理由は『日程変更になった』。前日の深夜に日程変更になる40人規模の忘年会なんてありますか?」(Yさん)

「10名以上の団体さんが予約時間30分過ぎても来なかったことがあって、こちらから電話したら、その人は『予約したのは別の日。でも、気分悪いからキャンセルします』って言うんですね。

それで予約帳を確認したら、その人が言う“別の日”には1カ月以上前から別の大きな団体さんの予約が入ってたので、10名以上は予約できないはずだったんです。こっちは予約帳に予約いただいた日付も記録してるんですよね」(Kさん)

そして、Tさんからはこんな話が聞かれた。

「2年くらい前ですけど、貸切が当日キャンセルになったことがあったんです。幹事さんから電話があって、『今日参加する予定だった者のひとりに昨日不幸があったので、会自体なくなることになりました。申し訳ありません』と。

それは仕方ないなと思い、切り替えて通常営業を始めたんですけど、貸切予約時間になったら、『貸切の客です』って言って女性がひとり来店したんです。僕が『先ほど幹事様からキャンセルのご連絡がありましたが』って言ったら、その人は携帯を見始めて、あっけらかんと『あ、店変わってたみたいです』って…

さすがに腹が立ったので、その女性から幹事さんに電話してもらって、怒号まじりに話しました。そうしたらその女性は泣いてしまって…。彼女には責任はありませんから、かわいそうなことしましたね。ただ、後日、幹事さんには来店していただいたうえで謝罪してもらいました。あまりに酷い場合は、こうやって戦うべきだと思います」

予約は、飲食店にとって「契約」だ。“お客様”から代金を支払ってもらうことを前提に、お店も仕込みや仕入れ、人件費にコストをかける。“2名の当日コースなし予約”などならまだしも、団体や貸切の場合、その売り上げがそのまま従業員たちの生活に関わってくる。

ほとんどの飲食店が実際に金銭的打撃を受けている状況だ。やむを得ないパターンがあることはもちろんとして、悪質なドタキャンやバックレに対しては、「法整備が必要」と言っても大袈裟ではないかもしれない。

【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2015年1月16日(金)~2014年1月18日(日)
対象:全国20代~60代  男女1500名

(文/しらべぇ編集部

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ドタキャン飲食店バックレ
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