「決闘」したら犯罪に!?ちょっとマイナーな法律3選【法律コラム】

2015/05/12 08:00

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世の中にはいろんなルールや決まりがありますよね。

ルールといっても「法律」で決まっていることや、地域独特の「慣習」「風習」といった仕来りが根付いている場合もありますよね。なかには、ほかの地域の人が、「?」となるようなルールが存在する地域も。

そして法律にも、意外と知られていないマイナーな規定が眠っていたりします。今回は、みなさんが普通に生活するうえでは、なかなかお目にかかることがないであろう法律をピックアップしてご紹介します。


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■「水道」にも重い法定刑がある!

しらべぇ0513水道©iStock.com/ayaka_photo

刑法に規定されているものとして、傷害罪や暴行罪、公然わいせつ罪などといった犯罪やそれに関する刑罰規定は、たびたび新聞やニュースでも登場するため、何となくでも知っているという方は多いのではないでしょうか。

ですが、刑法には他にも、普段なかなか聞くことのないような規定もあったりするのです。

たとえばこちら、

刑法147条 水道損壊及び閉塞罪

「公衆の飲料に供する浄水の水道を損壊し、又は閉塞した者は、一年以上十年以下の懲役に処する」

飲料水などの水道を汚染させた場合等ももちろんそうですが、水道そのものを損壊したり、閉塞させたりする行為も、罰せられることになります。

水道…よくよく考えてみれば、わたしたちの生活に直結することですよね。ですから、刑罰の規定があることも当たり前のような感じもしますが、刑法に「水道損壊(すいどうそんかいざい)」という、独自の規定があることを知らなかった方も多いのではないでしょうか。


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■議員の立候補者は「茶菓」が501円でアウト…?

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選挙に関することを細かく規定している法律として、おなじみの「公職選挙法」。選挙に立候補する人はもちろんのこと、選挙運動員もしっかりと意識しなければならないこの法律。以下のような規定があります。

【公職選挙法第197条の2第1項】

衆議院議員の選挙以外の選挙においては、選挙運動に従事する者に対し支給することができる実費弁償並びに選挙運動のために使用する労務者に対し支給することができる報酬及び実費弁償の額については、政令で定める基準に従い、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が定める。

これを受けて、公職選挙法施行令の第129条1項には、法第197条の2第1項に規定する実費弁償及び報酬の額についての基準が定められており、その1号では、「選挙運動員」一人当たりに支給できる額を、品目ごとに規定しています。

そのなかでも着目したいのが、「茶菓料」。その額は1日につき500円!!

これを、高いとみるか安いとみるかは、人それぞれだと思います。ですが、この規定によれば600円はもちろんダメですし、501円でもアウト(笑)。

細かいとはいえ、こうした規定にひっかかって、罪に問われてしまったとしたら何とも情けないお話に。1円単位までしっかり気を配る必要があるということですね。


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■血の気の多い人は注意? 「決闘」も罪になる!?

突然ですが、ここで質問です。あなたは「決闘罪」に関する独自の法律があることをご存知ですか?

そこで、どのくらいの方が知っているのか、マインドソナーを使い聞いてみました。

しらべぇ0512法律

データを見ると、知っている割合は男性の方が多いようですが、やっぱり全体的に知られていないようですね。

冗談のように聞こえますが、真面目な話で決闘罪に関する法律はちゃんとあるのです。

現行の刑法が制定される前の、明治時代に制定された法律に、題名はありませんが「決闘罪ニ関スル件」という呼称のついた全6条の規定があります。現在もこの規定は存在しています。

刑法施行法と照らし合わせて、この法律の内容を見てみますと、

決闘を挑んだ者・応じた者(1条)、決闘を行った者(2条)、決闘の立会人や決闘の立会いを約束した者(4条1項)、事情を知って決闘場所を貸与・提供した者(4条2項)に対し、それぞれ懲役又は罰金を科す

としています。ですが「今の時代にそんな規定が適用されることなんてないんじゃないの」って思った方もいるのでは?

実は、「タイマン」とも称されるようなケンカの場面で適用されることがあるのです。

一度は廃れかけたこの法律が現代で適用されるケースが増えた背景として、未成年同士のケンカの場面など、きっちり被害者と加害者を特定するのが困難な場合が多く、暴行罪や傷害罪の適用が難しいという事情もあるようです。

最近では、2014年7月に、福岡県でこの「決闘罪」に関する法律を適用し、中学生が書類送検されたというケースも。こういう話を聞くと「若いなぁ」と感心…いやいや、若い人であっても、法律に触れることは絶対にしないでほしいと筆者は願うばかりです。


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■おわりに

法律の専門家である筆者でも、「そんな法律があったんだ」とびっくりする時があります。これを機にみなさまも、ちょっと変わった法律について、いろいろ調べてみてはいかがでしょうか。

(文/弁護士・佐藤大和


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