【コラム】PUNK課長、HIPHOP係長に気をつけろ!音楽好き上司に嫌われないためのコツ

2014/09/26 15:00


tsunemi

先日、ニコ生に出演した際、物書き界の先輩からこんなアドバイスを頂いた。

「Twitterで炎上したくなかったら、参鶏湯と、ヒップホップについてつぶやいてはいけない」

前者は、韓国料理ということでネトウヨが絡んでくるのだろうが、後者については最初、どういう意味かわからなかった。なんでも、為末大が日本のヒップホップのことについて批判的なツイートをし、大炎上したのだという。要するに、「日本のヒップホップに違和感がある」という趣旨をつぶやき、ヒップホップ関係者からフルボッコにされたという話だ。なるほど、そりゃ怒るわ。

これに関連し、さらにその物書き界の先輩にアドバイスを頂いたのだが、だからと言って中途半端に礼賛してはいけないのだという。「俺、昔、キングギドラ聴いてました!」「ビースティー・ボーイズ聴いてました。ファッションも影響受けました!」「スチャダラパー、小沢健二とコラボしてたんで聴いてました!」なんて、言ってはいけない。「それは、リアルじゃない」とか「中途半端に理解しめされてもウザい」という話になるというわけだ。

私はこの騒動を聞いて、これは職場でも気をつけなくてはいけない問題だと感じた次第だ。というのも、青春時代にバンドブームを経験した人たちが会社で管理職になり始めているからだ。今も、仕事を抜けて洋楽の大御所アーチストのライブに通っている人、バンド活動をしている人などもいる。普段は頭まで筋肉で出来ているように見えるコワモテ課長、スパルタ係長も昔はパンクロッカー、ヒップホップのMCだったかもしれないわけだ

パンク課長、ヒップホップ係長とどう付き合うか? これが、日本の職場の、「いま、そこにある課題」である。

先ほどのヒップホップの事例でもそうだが、中途半端に褒めたり、色眼鏡っぽい見方をしてはいけない。

「ええ、課長!パンク・バンドやってたってことは、昔モヒカンだったんですか!?」
「ギター壊したりしたんですか?」
「火を吹くパフォーマンスとかしたんですか?」
「やっぱ、係長の世代だとラフィン・ノーズとか聴くんすか?」
「僕も、グリーンデイ好きっす」

など、中途半端に音楽談義をしてはいけない。死ぬぞ。いや、死にはしないが、上司との関係が劇的に悪化することは間違いなしだ。

ここで、音楽ネタに限らずだが、目上の人、年上の人と付き合うコツをお伝えしよう。それは、ひたすら聞く側にまわるということだ。たとえ、話しているテーマに関して知識がなくても、興味・関心すらなくても、気持ち良い聞き方をマスターしていると、会話が成立する。いわゆるヒアリング力だが、より細かく言うと“相槌力”とも言える。

「学園祭でギター壊したら、運営委員会から叱られてさ…」
「友達の実家のワゴン車で全国まわっていたんだよ」
「いまはハゲてるけど、昔は金髪でモヒカンだったんだぜ」

という話をひたすら、聞け、聞け、聞け。そして、うなづけ。

以前、勤務していた企業の上司が、このあたりの頷きフレーズを書籍でまとめている。『インタビューの教科書』(原正紀 同文館)という本だ。一部を引用しよう。

【感嘆】
すごいですね!
すばらしいですね!
驚きました!

【感心】
なるほど、そうなんですね。
さすが、よくご存知ですね。
たいしたもんですね。

【共感】
私もそう思います。
同感です。
本当にそうですね。

【感想】
そういうもんですか。
複雑(シンプル)なんですね

【質問】
本当にそうですか?
信じられませんね

【突っ込み・掘り下げ】
そのとき、どうされました?
そのとき、どう感じました?
さらに、どうしたのですか?

具体的なフレーズを覚えなくても、感嘆、感心、共感、感想、質問、突っ込み・掘り下げの言い回しを覚えておけば、会話はもつ。

というわけで、パンク課長、ヒップホップ係長への対応はこれで大丈夫だ!

最後に、これだけは言わせて欲しい。ヘビメタ課長、係長、こいつらは温厚だ。奴らは、いじられてナンボという、元々世間から偏見しか持たれない前提でいる人たちだからな。だから、話しかけられるだけで嬉しいものだ。

いや、まさに私はプロレスとメタルが大好きという、モテる理由、理解される理由ゼロの趣味を打ち出してサラリーマン生活を送っていたので、まわりから偏見を持たれまくっていたが、このあたりは覚悟があるからな。いじられて、むしろ嬉しく感じるわけだ。

「メタルのステージで、ミュージシャンが煽るジャックダニエルのボトル…あれ、中身は紅茶じゃないっすか!」

とか突っ込まれても、誰も怒らないぞ。まあ、たまに、メタル界での派閥争いはなくはないけどな。

メタルの世界は寛容だ。興味のある人は『BURRN!』の現在出ている30周年記念号を買うように。

(文/常見陽平

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