【潜入取材】タイで唯一!手を使わず食べられる「ノーハンドレストラン」とは?

2014/11/25 21:00

“ノーハンドレストラン”

名前からして興味をひかれるネーミング。バンコク、いやタイランドで唯一、たった1店舗しかないジャンルのレストランだ。“ノーハンドレストラン”と呼ばれる通り、手を使わずに料理を食べられるレストランで、創業して50年以上も経つ老舗店だ。

――手を使わずに食べられるシステム。それがどういったシステムなのかは後述しよう。

ノーハンドレストランの店名は『スラット』。場所はバンコクの中心部からさほど遠くないラマ6世通り、ソイ29に立地している。大通りから小道に入って20メートルほどの場所にビルがそびえており、そこが『スラット』だ。

創業50年以上の歴史あるビルディング。と言えば聞こえはいいが、老朽化し古臭いだけ、と言い切ってしまった方が適切だろう。入口にはこれまた古臭さを感じるネオンが、弱々しく店名を灯している。

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『スラット』はこのビルの3階。エレベーターで3階へ到着すると、左手に女性が10名ほど着座している姿が現れる。

そう彼女たちこそ“手を使わずに料理を食べる”ための主役たちなのである。ここでお気に入りの女の子を選び、テーブルへ伴うのだ。

どの子も色白で若い。20代前半だと思われる子ばかりだ。飲食する部屋は5~6室あり、完全に仕切られている個室タイプ。部屋の中央には丸いテーブルがあり、足元は掘りごたつ式になっている。日本風の部屋といっていいだろう。

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今回我々は男3人で『スラット』へ訪れた。それぞれ選んだ女の子を横に付けている。料理が出てくると、彼女たちの出番だ。箸で料理をつまみ、口元へ運んでくれる。

「あ〜ん♪」

これこそが『スラット』だけが誇るノーハンドシステム女の子たちが甲斐甲斐しく料理を食べさせてくれ、飲み物を口まで運んでくれるのだ。他人にご飯を食べさせてもらうのは、幼少期以来なのではないだろうか。自分の恋人だったそんなことはしてくれない。

まさに現代の王様気分私の両手は常に膝の上、または女の子の太ももの上にあるわけで、料理を食べるため、ビールを飲むためには一切使用することはないのである。

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3人で王様気分を満喫しつつ、隣の女の子をからって楽しんでいたら、個室の扉が開き豪傑そうな女性がずかずかと入り込んで来た

「タノシンデマスカー?」

ママさんはどうやら日本語が話せるらしい。なぜ日本語を話せるのか聞いたところ、何十年も前に大阪の大国町にあるスナックで働いていたことがあるそうだ。

「旦那は札幌生まれだったのよ。もう死んじゃったけど」

旦那の死後、彼女はタイへ戻り『スラット』のママさんになった。そして毎夜、同店の看板を灯しているのだ。個室が日本風なのは、ママさんが日本で働いていたことの影響があるのかもしれない。

私は1つ気になっていることをママさんに訊いた。

「ここの女の子はみんな色白で可愛い子ばかりですね」

「みんなタイ北部のチェンライから連れて来ているのよ」

なぜ色白で可愛い子が多いのか、この言葉で合点した。

チェンライはタイ最北部の県で、少数民族の子、または少数民族の血が入っている子の割合が他県より多い。少数民族の子は一般的なタイ人女性と異なり、色白なのだ。しかも容姿が日本人好みの容姿をしているので、『スラット』はローカルな店であるにも関わらず、ときどき日本人客が来ることもあると言う。実際、私たちが訪れた日も、一組の日本人客が来店していた。

今年創業53年を迎えたノーハンドレストラン『スラット』。ガイドブックに載っているありきたりな観光スポットに飽きたなら、刺激を与えてくれるレストランだろう。

(取材・文/しらべぇ海外支部・西尾康晴

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