救急医が「即座に救急車呼ぶべき」とする3種類の痛みとは? 尿管結石は…

2015/04/02 08:00

Woman having stomachache in bathroom

©iStock.com/CentralITAllianc

都内在住・勤務の救急医、Sです。

頭が痛い、腰が痛い、歯が痛い…。“痛み”は、つらいものですよね。「痛みなんて感じないカラダになればいいのに…」なんて思ったことのある人も少なくないと思いますが、動物は痛みを感じることで、自らになんらかの危険が迫っていることを察知します。痛みを感じる能力が欠如するのは、生き抜いていくうえで致命的なんですね。


 

■命に関わる3つの痛み

今回は、見逃してはいけない「痛み」について解説します。

人は自分の身体に痛みが生じると、病院に行く必要があるか考えますね。「痛み」と一概に言ってもかなり多岐に渡る症状があり、ジンジン、ビリビリ、刺し込むような、重い、締め付けられるような、焼けるような、とさまざまな表現をします。では、なかでも特に怖い痛みの性状はなんでしょう。

それは、血管を初めとした臓器が「詰まった」「捻れた」「破けた・裂けた」症状による痛みと言えます。具体的に見ていきましょう。

1:詰まった(心筋梗塞、肺塞栓、腸管動脈塞栓、腸閉塞、尿管結石)
2:捻れた(腸捻転、卵巣捻転、精巣捻転、胃捻転)
3:破けた・裂けた(大動脈解離、大動脈瘤破裂、脳動脈瘤破裂、腸穿孔)

時間の制限に差はあれど、どれも命に関わる病気ばかりです。しいて言えば、落ち着いて診られるのは、(本人は笑えないが)尿管結石くらいでしょう。

ある程度共通していることは、「突然発症」であること。痛みが出現してからピークまでが極端に早い時には要注意となります。つまり、詰まった、捻れた、破けた、裂けた瞬間です。「痛いな」と気がついてからじわじわ増してピークに達する場合には、少し時間の余裕がある可能性を秘めています。

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©iStock.com/Marina_Ph

とにもかくにも、突然生じた強い痛みでは速やかに病院を受診する必要があり、動けなければ即座に救急車を呼びましょう。痛みに加えて、意識がおかしい、ふらつく、苦しい、吐いてしまう、そして冷や汗や脂汗を伴っている時にはさらに注意が必要。持続的で波がない強い痛みも危険のサインです。

また心筋梗塞では、胸を押されるような、締め付けられるような、というキーワードが多く、大動脈解離では裂けるような痛みで移動することがあります。そして、バットで突然なぐられたような痛みは、くも膜下出血に特徴的と言えます。まさに破けた瞬間ですね。

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■鎮痛剤でも効果があるのは?

ちなみに、「動くと痛い」「特定の部位を動かすと痛い」という場合には、筋骨格系といって、名前の通り骨や筋肉、靭帯など内臓器が原因ではないことが多く、これらは市販の鎮痛剤でも効果があり、痛みがつづく場合には整形外科の受診をオススメします。

ひとによって痛みへの感受性と耐えられる閾値(いきち)にはバラツキがあるもの。散々手術で人を切っている外科医が、採血の注射をされるのが怖くてビビる、という場合も珍しくありません(笑)。痛みに強い人でも、上記を踏まえ、怖い痛みへのアラートを高めておきましょう。

(寄稿/救急医・S先生)

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