山奥の池に「怖い」伝説が残りがちな「優しい」理由… 伝説が守る2つのもの

2015/06/14 08:00

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映像作家兼デザイナーの原田専門家です。

カッパや妖怪、そして「日照り続きを救った大蛇が住んでいる」など、池や湖には怖い伝説があることが多い。また、各地に伝わる“でいだらぼっち”の伝説の多くは、その足跡が湖や池を作ったとされるもの。さらに、ネス湖のネッシーに始まり、池田湖のイッシー、屈斜路湖のクッシーなど、UMAに関するものまで伝説も色々だ。


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■イタズラをしたら気がふれてしまう…ある池に残る怖い伝説

そんななか、ボクの地元(愛知県豊田市)にもそんな伝説が残る池がある。それがこの「根池」だ。

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子供の頃には、「根池にイタズラしたらダメだ」「石を投げると雨が降る」なんて言い聞かされていたので、イタズラをしたことも石を投げたこともなかった。

実家はそんな根池の近くにあるお店なので、観光に来たお客さんがよく「あの根池の伝説ってホントですか?」と聞く。母が「昔は雨乞いで石を投げてたと聞くけど、どうですかね」なんて答えてると雨が降ってきたりしたこともあった。

さて、その伝説とは…

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一、昔し南方約二〇キロの所に小さな沼有り 其の沼の主白蛇が一朝美女と成り此の池に来り主と成りたとの事
此の池で雨乞いをすれば必ず雨が降ると云う
一、此の池の魚を取ると発狂し又事故死すると云われている 村人は今でも決して此の池を荒らす事は無い
一、此の池に石を投げると必ず雨が降る
一、此の池の水は年中変わる事も無く昔のままで有り尚池の深さは何程有るか知らない
一、此の池には水神様を祈り今も参拝者が有る
鯉を放して願う時は願いが叶うと云われる
自然の美を愛しましょう

と書かれている。

子供の頃は「イタズラをしたら気がふれてしまう」と教えられていた。そこで、大人になったいま、この伝説が本当なのか実際に試してみることにした。

しかし、イタズラをして本当に“発狂”したり、帰りに事故にあってはかなわないので、石を投げてみた。この日の天気は全く雨の予報もない快晴。池のほとりに祠があったので、お参りをし、小石をポチャリ。

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ここでマンガならヒュ~と風が吹いて雲がモクモク集まるんだろうけど、とくに何も変わらず、そのまま夜まで雨が降ることはなかった。当然、帰りも無事であった。


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■伝説が守るものとは?

それでは何故、根池に限らず、このような“怖い伝説”が多く残るのだろうか?

それは、子供たちに伝説として伝えることで、池や湖での水遊びの事故を防ぐための戒めの意味が大きい。実際、子供の頃には近寄ることも怖かったので、水難事故に遭うこともなかった。

こうした伝説の残る池や湖は、柵がなかったり足場がぬかるんでいたりもするので、大人でも注意が必要だ。昔はこうした伝説が子供たちを守り、事故を未然に防いでいたのだ。

しかしこんな山の中の、しかも山頂にこんな自然湖があるのはとても神秘的。この自然を守り、水難事故から子供たちの身を守るためには、こうした伝説が必要なのだろう。

(文/原田専門家

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