タイで空前の自転車ブーム!自転車の浸透が変える環境とは?
去る12月11日、タイ国王の誕生日(12月5日)を祝うために“自転車に乗る”イベント、「Bike For Dad」が開催された。
バンコクをはじめとするタイ各都市だけでなく、世界各地、国や人種を超え世界66都市でこの催しが開かれ、参加人数は60万人以上(バンコクでは約10万人以上)という大イベントとなった。
バンコクで自転車? 道は舗装されているものの傷みが激しく、凹凸もあり、慢性的な渋滞のため自動車の排気ガスも多いここで? この地に住んで2年になる筆者には、どうしてもそのような理解しがたい部分があった。
そこで、実際に自転車にハマっているタイ人に取材を試みたところ…。
●
タイは日本以上の格差社会。中流以下(本人談)と富裕層の2組から話が聞けた。
聞いた内容は、次の3つ。
1:いつから自転車に乗りはじめましたか?
2:自転車の購入費用はいくらでしたか?
3:自転車の魅力は何ですか?
中流~中流以下(本人談)の生活者代表として答えてくれたのは、タイ人のコップさんと日本人Mさんの30代のご夫婦。コップさんは、屋台でクイティアオ(麺)を売っている。
富裕層からは、幾つもの会社を経営しているDさん。
回答は、見事に分かれた。
●
バイクや車を買えず、バスやタクシーの代わりに乗りはじめた中流以下の人たちは、ブームになるずっと前から自転車を愛用している。値段は、3000~5000バーツ(約1万円~2万円)。中古も含むという。
一方、ブームにのったのは富裕層。ここ1年くらいのことらしい。価格帯は、2万~5万バーツ(6万円~20万円)というから驚きだ。
自転車の魅力は、なによりその“爽快感”なのだそう。富裕層は、ダイエットやエクササイズ目的で、中流層以下は交通費の節約も兼ねる。
だが、両者とも瞳をキラキラさせて自転車に乗ることをすすめてきた。このブームが続けば、車が減り、排気ガスや渋滞も緩和され、道も整備されるだろう、そして人々は健康になるはずだ、と。
タイにおけるこの空前の自転車ブーム。一過性のものとなるかどうかは、車を何台も所有している富裕層が鍵を握っているかもしれない。
●
また最近では、観光客向けの自転車ツアーもあるそうだ。レンタル自転車で民家の間の狭い道を走ったり、ボートに自転車ごと乗せて寺院をめぐったりするとのこと。
日本人妻Mさんは、「車やバスでめぐるより、自転車でまわるほうがタイ人の生活に触れることもできるので、タイをより身近に感じられるはず。日焼け防止グッズとマスクを装備すれば快適です!」と話していた。
(文/しらべぇ海外支部・hiroko)