エアソフトガンの悪質事件、再び 「遊戯銃」法規制の歴史を振り返る

2016/06/04 05:30

sdigital/iStock/Thinkstock
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エアソフトガンで男子中学生を撃ったとして、43歳の男が逮捕された。この男には余罪があると見られていて、警察が捜査を継続している。

男はエアソフトガンを改造していたらしく、その成果を確かめたかったと供述している。じつに幼稚で、許されざる犯行だ。だが、このようなことが度々起きているのも事実である。

そしてそのたびに、エアソフトガンに対する法規制が施されてきた。



 

■「何でもあり」だった80年代

おもちゃに過ぎなかったエアソフトガンが競技化されるようになったのは、80年代のことである。

この頃に弾丸が従来の鼓形から6ミリの球形BB弾に統一され、銃自体の性能も大きく向上していった。だがそれは、ユーザーの間で過度な改造競争を生むことになる。

当時はエアソフトガンに対する規制が少なく、技術さえあれば改造し放題という状態だった。よくあるのが金属製の弾を撃ち出すための改造である。もちろん、金属の弾はプラスチックのBB弾よりも重いから、それを遠くへ飛ばすには銃に強大なパワーを持たせる必要がある。

80年代のサバイバルゲームはまだ競技としてルール統一が行われていなかったこともあり、そうした危険な改造銃を阻止することができなかった。


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■きっかけは高速道路銃撃事件

2000年代に入るとエアソフトガン競技もルールが整備され、危険なガンユーザーは姿を消したと思われていた。

だが2005年に発生した事件は、エアソフトガンの業界に大きな衝撃をもたらした。大阪、和歌山の両府県の高速道路で、走行中の車がエアソフトガンによる銃撃を受けたのだ。この時使われた銃の弾丸は金属製だった。つまり改造銃である。

これをきっかけに、司法はエアソフトガンの規制に踏み出した。

現在、エアソフトガンには過度な改造を防止するためのパワー制限が設けられている。これは弾丸の速度ではなく、国際熱量単位ジュールが基準になっている。

日本では0.989ジュール以上のエアソフトガンは「準空気銃」と見なされ免許の所得が必要になる。つまりエアソフトガンが「遊戯銃」でいられる限度は、この0.989ジュールまでなのだ。


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■今も改造業者が?

1ジュールは、およそ102グラムの物体を1メートル持ち上げる時に消費されるエネルギーだ。それよりも低いエネルギー量で放たれたBB弾は眼球に当たらない限り、人体を傷つける可能性は極めて低い。

だが、今もなお違法改造に手を出すユーザーは存在する。かつては銃のパワーアップを請け負っていた玩具店もあり、それが闇市化している可能性も否めない。

また、かつて販売されていた銃がその後警察により「実銃」と認定されたものもある。それは発見次第警察に提出することが求められていて、当然ながら使用は犯罪行為

そして悪質なユーザーのために損害を被るのは、いつも善良なユーザーだということを忘れてはいけない。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

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