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「不条理な死」に勝利し赦される「クソ素晴らしい」結末 『アンナチュラル』に喝采

「赤い金魚事件」の全貌が明らかに…! 勝利と平穏をつかみ取るラストに、インターネット上では「クソ素晴らしい」と絶賛の声があがる

エンタメ

『アンナチュラル』

社会問題に切り込んだ巧みな脚本や演出が注目を集める、TBS系ドラマ『アンナチュラル』。その最終回が、16日に放送された。

8年前に中堂(井浦新)の元恋人・糀谷夕希子(橋本真実)を殺した連続殺人犯をつきとめたミコト(石原さとみ)たちだったが、犯人を「殺人罪」で裁けないという問題に直面してしまう…。

 

■高瀬を「殺人罪」で裁けない? 

客としてやって来た若い女性を、アルファベットの頭文字にちなんだ巧みな方法で殺害してきた、不動産業を営む高瀬(尾上寛之)。

26人目を殺害し、証拠となる遺留品を燃やしたうえで自ら警察署に出頭した彼だが、「遺体の損壊」は認めたものの殺人については頑なに否定。

連続殺人の容疑者として高瀬が注目を集める中、高瀬を追い続けてきたフリー記者の宍戸(北村有起哉)は、高瀬への取材を元に執筆したという『26人の殺害は現実か妄想か』という本を出版。

凶悪殺人に加担したと思しき人物の本が飛ぶように売れる中、多くの被害者が解剖されずに「自殺」や「事故」として片付けられてきたことで、ミコトたちは「26人も殺した男を殺人罪で裁けない」という歯がゆい現実を突きつけられることに。

 

■ミコトに委ねられた決断

そんな中、かつてミコトと法廷で対峙した敏腕検事・烏田(吹越満)が、第9話でホルマリンによって殺害された女性の鑑定書について、裁判で不利になる記述を削除してほしいと持ちかけてくる。

「嘘の鑑定書」を作ることに抵抗を示すミコトだが、他に高瀬の殺害を決定づける証拠がない中、「烏田検事に協力しなければ、補助金を打ち切る」とのお達しまで出され、追い打ちをかけられてしまう。

その中で、解剖を行った関係者しか知り得ない情報が高瀬に渡っていたことに気付いた神倉所長(松重豊)は、宍戸とのパイプを持つアルバイトの久部(窪田正孝)を「週刊誌に情報をリークしていた人物」だったと突き止め、久部は謝罪した後にUDIを去ることに。

 

■所長の決断、中堂が殺人を犯す…?!

ミコトは悩み抜いた末、「嘘の鑑定書は出せない」と決断するが、ミコトより先に神倉が真実の鑑定書を烏田に手渡す。法医学者としてのミコトの将来を危惧しての彼の独断によるものだった。

そんな中、「娘は中堂に殺された」と思い込んでいた夕希子の父(国広富之)が高瀬の存在を知り、中堂に謝りたいとUDIを訪れる。しかし、ミコトが嘘の鑑定書を出さないと踏んでいた中堂は、UDIへの辞表を用意したうえで宍戸の元へ向かっていた。

毒物を注射して宍戸をゆすり、殺人の証拠をあぶり出そうとする中堂。宍戸は苦痛に耐えかねて高瀬が被害者の口に押し込んだ玩具のボールを差し出すが、薬液によって被害者の痕跡は消されてしまう。

「解毒剤」と偽って宍戸に毒物を飲ませることに成功したところで、ミコトと久部が到着。ミコトは…

「不条理な事件に巻き込まれた人間が、自分の人生を手放して、同じように不条理なことをしてしまったら負けなんじゃないんですか? 中堂さんが負けるのなんて見たくないんです」

 

と、中堂を説得。ミコトの言葉を受け、中堂はそっと本当の解毒剤を手渡し、宍戸は一命を取り留めた。

 

■ミコトの言葉の重みに反響

ミコトは、一家無理心中の生き残りであり、「母親に殺されそうになった」壮絶な過去を持つ。中堂はミコトの過去については深く知らないものの、彼女が選んだ言葉の重みと、「勝ちに行く」ことを選んだ中堂に反響が広がる。

「殺人遊戯」の回に続き、改めて「復讐」の虚しさを訴えかけられる。

 

■夕希子の再解剖、法廷での戦いへ

最後の証拠を失ったと落胆していた矢先、夕希子の遺体はアメリカで土葬されていたことが発覚。急遽、遺体を掘り起こし夕希子の再解剖が行われることに。

ミコトは、中堂が解剖を行った8年前にはなかった最新技術を駆使して夕希子の歯の裏側に付着していた高瀬のDNAを検出することに成功。

法廷の場でも夕希子の殺害を否認し続ける高瀬に対し、ミコトと烏田は、高瀬が幼少期に母親から「口にゴムボールを入れられる」等虐待を受けていた過去を指摘。そのうえでミコトは「不幸な生い立ちに興味はない」などと切り捨てつつ…

「被告人は今もなお、死んだ母親の幻影に苦しめられています。30歳を過ぎても、子供の頃のまんまなんです。誰も彼を救えなかった、あなたも自分自身を救えなかった…あなたの孤独に、心から同情します」

 

と、「感情論」で高瀬に揺さぶりをかける。

すると、堰を切ったように高瀬は「やりたくてやった、殺したくて殺した」「26人、誰もマネできない、俺はやり遂げた」と26人全員の殺害を自白。ミコトと中堂、そしてUDIは法廷で勝利を勝ち取り、宍戸も「殺人幇助」の容疑で逮捕された。

 

■ミコトの「感情論」屈辱の第3話との対比に感激の嵐

ミコトが法廷に立つシーンは第3話でも描かれており、そこでは対峙した烏田より「女は感情的」などと論破され、屈辱的な展開に追いやられていた。

最終的にはミコトに代わって中堂が法廷に立ったことで冷静に勝利を勝ち取ったのだが、最終話にして「中堂に代わってミコトが法廷に立つ」「理屈ではなく感情論で揺さぶる」という見事な対比に、感激の嵐が巻き起こっている。

セリフの節々から、様々な意味合いを拾い上げる視聴者たち。

深い意味を孕んだセリフが散りばめられている同作では、放送後にTwitterのタイムラインにて、他の人の解釈を見て改めてストーリーや伏線への解釈を深めていく…という作業が、熱心な視聴者の間で定着していった。

 

■「あなたは生きて下さい」恋人との死別から赦された中堂

裁判の後、中堂は夕希子の父に彼女が描きかけた2作目の絵本『ピンクのカバ』のイラストを「遺品です」と言って手渡す。

すると、それを見た夕希子の父は…

「最後の電話で夕希子が言ってました。『今度の絵本は、2匹のカバが一緒に旅をする話』だと。夕希子の旅は終わったけど、あなたは生きて下さい」

 

と、夕希子の遺品を中堂に託した。

やがて、中堂と折り合いが悪く別の大学病院へ移っていた、中堂班の臨床検査技師・坂本がUDIに戻り、正式に「法医学者」を志すと決めた久部も、新人アルバイトとしてUDIに再雇用されることに。

UDIラボが平穏を取り戻すかたちで、同作は大団円のラストを迎えた。

 

■「伏線オブ伏線」大団円ラストに喝采

苦しみ続けていた中堂に光が指し、最後までミコトは「不条理な死」に屈しなかった。離れ離れになった仲間たちも戻るとちう大団円の結末に、Twitter上では喝采があがっている。

同作の内容を称賛する声と共に、「続編」や「映画化」を切望する声も相次ぐ。

 

■「法医学者を働かせる場所がない」脚本家・野木氏のメッセージ

最終回放送後、同作の脚本を手掛けた野木氏はTwitterにて、視聴者へ向けたメッセージをツイートしている。

同作で舞台となった「不自然死究明研究所(UDIラボ)」は、架空の機関。野木氏は、同作を通じて描いた「日本の解剖率の低迷」問題の根源として、「法医学者が少ない」こと以上に「法医学者を働かせる場所がない」ことについても訴えた。

第1話から「鳥肌がヤバい」という声が絶えなかった同作。「赤い金魚事件」が無事解決したことは喜ばしいが、終わってしまうことに寂しさを感じてしまう。再び集結したUDIメンバーによる「続編」にぜひとも期待したい。

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・合わせて読みたい→「帰りたい場所、帰るべき場所へ」 法医学の尊さに反響『アンナチュラル』

(文/しらべぇ編集部・もやこ

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