中村俊介が最後の浅見光彦演じる『浅見光彦殺人事件』　母役・野際さんも

39作品もシリーズ主演してきた中村俊介が、今作で浅見光彦役を卒業

エンタメ

2018/03/28 06:30

Sirabee編集部

（画像提供：©フジテレビミステリードラマSP『浅見光彦シリーズ53 浅見光彦殺人事件』）

明日29日夜8時より、『浅見光彦殺人事件』（角川文庫刊）原作のミステリードラマSP『浅見光彦シリーズ53 浅見光彦殺人事件』（フジテレビ）が放送される。

13日に83歳で敗血症のため死去した、作家・内田康夫氏の人気シリーズの中でも、とりわけ多くのファンを集めている「浅見光彦シリーズ」。数多くの作品があるだけでなく、その多くが映像化され、何人もの俳優が浅見光彦を演じてきた。

その中で、足かけ16年にもわたって浅見光彦役を演じている中村俊介が、39作品目となる今作で卒業することでも、注目されている。

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■「思い出のトランプの本」の謎

ドラマのあらすじを見てみると、

寺沢詩織（上原多香子）の母・美咲（山下容莉枝）が病床の末、いまわの際に言い残した「思い出のトランプの本を守って」という言葉。広島の出張先で「思い出のトランプの本」の謎が解けたと電話してきた後、非業の死を遂げた詩織の父・大輔（遠山俊也）。

そして詩織の元恋人までもが九州・柳川で「思い出のトランプの本」の謎を解く鍵を見つけたと詩織に手紙を出した後に殺される……。いったい「思い出のトランプの本」に隠された秘密とはなんなのか？　詩織と浅見光彦が九州・柳川にその謎を追うミステリー。そして今回、数々の難事件を解決してきた浅見光彦が死ぬ！？　衝撃のシーンが！！

となっている。

一足早くしらべぇドラマ班は作品をチェックしたのだが、推理ドラマとしてかなり見応えがある仕上り。原作を知っている人も、知らない人も、このドラマシリーズのファンだけでなく、初めて観る人も楽しめる。

中村が演じる最後の浅見光彦ということで、シリーズの中でも凝った構成の作品が選ばれたことに、多くの作品を中村と作り上げてきた制作陣の気合や、主演する中村への信頼が感じられた。

■シリーズ内でも特殊な作品

『浅見光彦殺人事件』は、シリーズ最高レベルのトリッキーな作品だ。これは謎解きトリックが難解というだけではなく、多数あるシリーズ作品の中で少し特殊な点がある。

記者の手元には嶋中文庫版の『浅見光彦殺人事件』があるのだが、その表紙カバーの折り返しには

[著者からのお願い]
この本は「浅見光彦シリーズ」を三作以上お読みになってからお読み下さい。

と記されており、「あとがき」の書き出しはこうだ。

「本書『浅見光彦殺人事件』は僕の生涯の中で、もっとも特徴的であり、風変わりな作品といっていいでしょう」

同シリーズに限らず、内田氏の人気シリーズはどの作品から手に取っても、その世界観に入っていけるものがほとんど。主人公・浅見光彦だけでなく、周囲の人々――兄や母、お手伝いの須美ちゃんなど、毎回丁寧にそのキャラクターが描かれ、どの作品から読んでも楽しめるのが特徴のひとつ。

それがこの作品では、「三作以上お読みになってから」という注意書きがあるのは、なぜなのか――。

今回のドラマはもちろん、前述したように初めてシリーズに触れる人にも、楽しめる作品だ。むしろ、ドラマ化された中でこの作品も、初めて観る人でもシリーズの魅力がよりわかる構成になったといえる。

一方で、小説やドラマシリーズを何作かでも知っている人には、原作を読んだことがなくても「あれ？」と思える展開があり、謎が解けた時に「そうだったのか！」がさらに一歩深く感じられるポイントになりそうだ。

■野際陽子さん演じる母・浅見雪江

このシリーズで長年光彦の母・雪江を演じてきた野際陽子さんが、収録を控えた昨年6月に死去したが、今作では過去の出演映像を編集し、最後の出演を果たしている。

主演の中村も、今作に関するコメントの中で「野際さんはとてもチャーミングな方でした。最後の作品は絶対にご一緒したかったので、それがかなわなかったことが本当に心残りです」と話し、「もうこの世にいないことが信じられないです。なんだか今も近くにいるような気がして。最後の浅見家では、不思議な感じがしました。お母さんのいない浅見家。寂しかったですね、本当に」と語っているが、野際さんの出演の仕方もまた、注目してほしいポイント。

なお、野際さんの娘である女優・真瀬樹里が、詩織の伯母役として登場。同じシーンはないが、親子共演作となった。