風化する以前に関心の低さに懸念 鳥取中部地震のその後
2016年10月21日14時7分頃、鳥取県中部を震源とした鳥取県中部地震は、マグニチュード6.6(暫定値)、最大震度6弱を倉吉市、湯梨浜町、北栄町で観測した。
地震の大きさに対して被害規模が比較的小さかったことから、約半年ほど前に起きた熊本地震と比べると、驚くほど情報量も少なく、県外の人々の関心も薄い。
■被災地の現在
現地の被害状況がわかってきた地震発生の翌日、湯梨浜町に住む古い友人のFacebookアカウントを発見した記者は、無事を確認するためにメッセージを送った。
交流が長年途絶えていたこともあり、返信がきたのは10月28日。被災地で暮らす人の、リアルな感情がつづられていた。
「地震、めっちゃ揺れました。
家は大したことないですし、物流もあるし、東日本や熊本の時とは比べ物にならないくらい、日常に戻ることができる人の数は多いと思います。
が、やはり余震が減るとともに被害が見えて来て、ブルーシートが続く屋根や赤紙が貼られた家などを見てちょっとがっくりすることの多い日々です。
元気なんですよ。でも、大変だなーというのは日々のしかかっています。大工も左官も足りなくて家の補修は進まないし、観光も農産物も大ダメージです。
観光に来ていただくのもいいですけど、もう少し怖いですよね。米子と鳥取と境港は全然ダメージないみたいですので、そこは全然OKです。そちらで鳥取の農産物を見かけたら買ってやってください。義援金もありがたいです。
そして、お友達にも倉吉は元気だけど大変なんだってひろめてもらえたら嬉しいです」
(原文ママ)
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■日常を取り戻しつつある中で
東日本大震災の後、復興が進む中で、震災による被害の記憶が風化し、必要な支援が途切れることを多くの関係者が恐れた。
熊本地震では、支援者にアピールする「くまモン」というアイコンがあり、熊本城の石垣や阿蘇神社の復旧が、節目々々に報道されるだろう。
鳥取中部地震はどうだろうか? 未だ避難所での生活をおくる人がいる一方、すでに被害に遭った地域でも、予定していたイベントの一部を中止せず、延期したり、会場を変えたりといった対応で実施するなど、できる限りの日常を取り戻す動きも見られる。
しかし、そこに暮らす人々にとって、被害の規模だけでは計れない、疲労感やダメージは、今も少しずつ積み重なっている。
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(取材・文/しらべぇ編集部・くはたみほ)