震災後の「楽天優勝」より国民の印象に残った出来事とは?
東日本大震災の衝撃はあまりに大きく、当事者に限らず多くの人が心を痛めた。まして渦中にいれば、日常をなくした「喪失感」は、なかなか拭えない。
しかしそれと同時に、東北地方をはじめ日本を元気づけてくれる出来事もあった。5年間でさまざまなことがあったが、これらは、人々が力を結集したことの軌跡とも言える。
そこでしらべぇ編集部は、震災後に「東北にまつわる報道で取り上げられた出来事」を選び、その中で何が印象に残っているかを調査した。
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■ 震災後、国民の心に残った出来事とは
今回ピックアップした出来事は以下のとおり。
・『あまちゃん』ブーム
・『東北楽天イーグルス』の日本シリーズ優勝
・サッカーチーム『ベガルタ仙台』の連勝
・WBCでの台湾との対戦で、最大の募金額だった台湾への感謝
・(有名人から一般人まで)国内の支援の輪
・米軍の「トモダチ作戦」に象徴される世界各国からの支援
・自衛隊やハイパーレスキュー隊の活動
・鉄道や道路など生活インフラの整備
全国の20代~60代の男女1341名に上記よりひとつ選んでもらったところ…
「エンタメ・スポーツ(グラフ赤系統)」と「国内外の救援(グラフ青系統)」が半々に分かれる結果に。
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■ 2013年に集中した「あまちゃん・楽天優勝・WBC台湾戦」
震災後、東北地方を勇気づけた「エンタメ・スポーツ」の話題は、2013年に集中している。
たとえばWBCでの台湾との対戦では、台湾への感謝を示そうとツイッターで話題になり、球場の観客は「謝謝! 台湾」というプレートを掲げ、それを見た台湾の選手が試合後一礼したことが話題になった。
また、もっとも国民の印象に残った岩手県が舞台の朝ドラ『あまちゃん』(NHK)では、ツイッター上で「あま絵」が話題になるなど、コンテンツそのものだけでなく、一般の人の言動が大きな動きをもたらしている。
3月末に引退する「さんりくしおかぜ」を惜しみつつ描きました。
潮騒のメモリーズ号も3月19日がラストラン。
感動をありがとう!https://t.co/YDhVLcv8xY#あまちゃん #あま絵 pic.twitter.com/ZkS95I1Tp6— やす (@yasnot) February 7, 2016
プロ野球日本シリーズでは、田中将大投手が登場すると入場曲「あとひとつ」の大合唱が巻き起こったことも、記憶に新しい。
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■ 国内外の救援活動
被災すると程度の差はあれ、復興にはかなりの気力が必要だ。ふたたび一から築くプロセスは厳しく、いまなお苦境のなかにあると言っていい。
しかし、窮地のときの自衛隊や警察、消防、海上保安庁などの国や地方自治体の職員、さらには諸外国や国内の組織による救援があり、今日にいたっている。
印象に残った出来事として「国内外の支援」と答えた人の年代別の割合を見てみると…
男性20代が「鉄道や道路、インフラの整備」に、男性60代以上は「世界各国からの支援」に着眼している人が多い傾向があるとの違いはあるものの、全体的に救援活動に強い印象を持つ人は多い。
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■ 自衛隊員に聞いた
自衛隊員のひとりに話を聞くと、「全員を助けられて当たり前」という信念のもと、任務にあたっているとのこと。
その上、「助けきれなかった人、救助が間に合わなかった人たち、またそのご家族などの方々に対して心より深くお詫び申し上げるほかにございません」と言う。
こうした真摯な姿勢に、どれだけ助けられてきたのだろうかと、考えさせられる。
災害列島と言われ、複雑な社会問題を抱えている日本。しかし被災後のこの5年間は、人々が力を発揮し日本列島を勇気づけあった日々でもあったことを覚えていたい。
(取材・文/しらべぇ編集部・大空美南)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年2月19日~2016年2月22日
対象:全国20代~60代の男女1340名