【蔵元コラム】震災から5年…東北の日本酒は元気です
みなさんこんにちは。萩野酒造八代目蔵元の佐藤曜平です。
もうすぐ春ですね。酒造りもいよいよラストスパート。あともう少しです。少しずつ暖かくなってくるこの時期は、ひたすら蔵にこもる酒造りのゴールも見え始めてくる頃なので、みんなウキウキしちゃいます。
そして春と言えば桜、そしてお花見ですよね! そこで、こんなお酒を造りました。
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■ 萩の鶴 純米吟醸 別仕込 生原酒(通称さくら猫ラベル)
めんこい(トウホグ弁でカワイイの意)でしょ。すみません、あからさまに女子に媚びています。
別仕込とは、通常の純米吟醸とは別の吟醸酵母で仕込んだという意味です。イラストの猫のように桜の下でのんびりと楽しめるよう、春らしい香りと優しい甘口に仕上げました。
デリケートな品質の生原酒のために劣化が比較的早いので、店頭での不良在庫化防止とマニアックな方の自家熟成をなるべく避ける目的で『ジャケ買い促進媚びラベル&花見までに飲めよというメッセージ』を込めたビジュアルとなっています。
単に「カーワーイーイー」だけを狙った訳では無いのです。この春オススメの自信作ですので、ぜひお花見に連れて行ってやってください。
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■春にぴったりのお酒が続々と…
そして、全国の蔵元さんからも春のお花見にピッタリのさまざまなお酒が発売されています。
①宮城県 浦霞 春酣(はるたけなわ)
②秋田県 うきうき山本
③和歌山県 紀土(キッド)春ノ薫風
ご紹介したお酒はどれも少量生産の限定品で、一部の地酒専門店や飲食店さんに「ある時はある」くらいのレベルでしかありません。大変申し訳ありませんが、見つけたらラッキーくらいに考えてください。
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■震災から5年…東北の日本酒は元気です
そして先日、東日本大震災から5年を迎えました。震災直後、日本全国が自粛ムードに覆われてとても暗い空気だったのを覚えている方も多いと思います。そんな状況の中で東北の経済的二次被害の惨状を訴え、
「自粛しないでぜひお花見を。東北のお酒を飲み東北の食材を食べて応援して欲しい」
と、岩手の蔵元さんがネット動画で訴えたこと、覚えていますか? 知っていますか?
それは『ハナサケニッポン』というプロジェクト。震災直後でしたからね。批判もあったと聞いています。
でも、おかげで自粛ムードは一気に晴れ、日本全国で「東北のお酒と食材を飲んで食べて応援!!」という空気が一気に広がり、たくさんの方々に応援していただきました。本当にありがとうございました。
あれから5年。おちこんだりもしたけれど、東北の日本酒は元気です。
(文/佐藤曜平)