マットレスの「レス」部分に着目したら世界が変わって見えた
布団でもベッドでもコンクリートでもぐっすり眠れる、俳優/ハイパーメディアフリーターの黒田勇樹です。寝る場所も選んでいられないほど、多忙すぎた子役時代の影響でしょうか。
このコラムは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べる「妄想的」な語源しらべぇです。
■レスという言葉に混乱
マットレス。マットが、レス…? こんな疑問を感じられたことはないでしょうか? ペーパーレスは紙を使わないこと。ボーダレスは、ボーダー、つまり境界線がないこと。
トップレスは上半身裸、つまり「上着いらず」で、「レス」は「不必要」や「無い」など存在しないことを表す言葉であるはず。なのに、マットレスはどう見てもマット!
体育のときに転がったり、お風呂上がりに足を拭いたりする、あのマットがない状態がマットレスだとしたら、私たちが寝転がっているマットレス、つまり「マットいらず」は、どうしてそう呼ばれているのでしょうか?
もし、あれがマットいらずであれば日本の布団のことは「ベッドレス」と呼ぶべきですし、寝袋のことは「布団いらず」と呼ぶべきなのではないでしょうか?
■ほかにも不自然な例
そう考えると、ウェイトレスは「重さがない」のか「待ち時間いらず」なのか?
でもそうすると「ウェイター」は「重い人」か「待たせる人」になってしまい、同じ職責のはずなのに、まるで反対の意味になってしまいます。
「ステンレス」は、「ステン」がなくて、「ストレス」は「ストいらず」ということになってしまいます。「ステン」てなんだよ! ストしてる人たちはストレスの塊なはずなのに!
「レス」について考えていると、頭がこんがらがってきます。
■表記で見てみると…
まあ、英語で表記してみると、失うほうの「レス」は「less」、マットレスの「レス」は「ress」 なので、発音が同じなだけで、まるで別の意味の言葉ということ。
「マット」は「敷物」、「マットレス」は「敷布団」。誰も、なにも失ってはいなかったのです。
カタカナ英語について語源を調べずに考えるとこうなる、というお話でしたが、なんだか難しく考えすぎて面倒くさくなってきたので今夜もよく眠れそうです。ムニャムニャ…。
(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)