高知ファイティングドッグスはなぜマニー・ラミレスらの招聘に成功したのか? 梶田社長に聞いた

独立リーグ球団ながら、マニー・ラミレスや藤川球児など超一流選手の招聘に成功した高知ファイティングドッグス。その戦略や背景について、球団創設からの生え抜き選手で現社長の梶田宙氏に話を聞いた。

2017/05/28 11:30


 

■3期連続の黒字も達成

ファイティングドッグスは、話題を集めるだけでなく3期連続して黒字も達成している。

梶田:選手を10年やって、社長を務めることになったのは北古味鈴太郎オーナーのアイデアでした。運がいいことに、社長就任1年目には藤川球児が入団、2年目は駒田徳広監督(元・巨人/横浜)が就任、3年目はマニー・ラミレス…と、確かに「特需」がありました。

それに加えて、これまで球団スタッフが取り組んできた地域の支えが大きいですね。他のチームだと、寮費がかかるところを佐川町が寮の面倒を見てくださっています。練習場は、越知町が無料提供してくれました。

一方で、野球県・高知ならではの悩みもあったようだ。

梶田:高知県は、高知商業や明徳義塾など高校野球の強豪校があり、野球文化は根づいています。一方で、高校野球は無料で見られますから、お金を払ってでも見に来ていただくために努力しなければならない面があります。

駒田監督は、球場を盛り上げる雰囲気づくりが本当に上手い。「優勝します」と言い続け、勝つ「気」をチームに与えるので、お客さんにまで「気の流れ」が伝わっていくんです。2、3点とられて、以前なら諦めていたところ、今は「まだまだこれから!」という気がみなぎっているように感じます。

高知市営球場にナイター設備ができたのはつい最近なので、これまでは平日のデーゲームが多く、ファンも高齢の方が多かったです。しかし、ナイトゲームができるようになって若いファンが増えてきています。

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■なぜラミレスが入団した?

しかし、経営が順調で地域の支えがあるとはいえ、なぜトップレベルの選手や監督が入団するのだろうか。

梶田:駒田監督は、高知県出身で総監督の江本孟紀さんのご紹介でした。それまでは野球教室などで高知に来てくださったことはあるようですが、特段に何か関係があったわけではなく、人とのご縁を感じます。

米国についても、ザック・コルビーという選手を獲得してから縁が生まれ、昨年は米国と韓国でトライアウトを実施しました。そこから、北古味オーナーや副社長(北古味潤氏)の熱意もあって、ラミレスの入団に漕ぎ着けたんです。

入団が決まったと聞いたときは、あまりに驚いて「本当ですか!?」と聞き直してしまったくらいですが、本人の「野球がしたい」という熱意がいちばんだったようです。

著名選手の獲得は、単なる「特需」だけでなく、チームのあり方も変えたという。

梶田:マニーが高知でプレーしてくれることによって、選手たちの雰囲気が変わりました。藤川のときは、「若い選手は自分に話しかけづらいだろう」と、積極的に若い投手と交流してくれました。

現キャプテンの嘉数投手は「藤川さんからさまざまなことを学ばせてもらった」といつも話しています。話題性でいえば、アイランドリーグのどのチームにも引けを取らない露出ができていますね。

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