痴漢の手をつかみ通報した20代女性 警察官からの言葉に絶句した
電車内で痴漢被害に遭い、その場で男の手を掴んで被害を訴えた20代女性。痴漢被害を訴えた場合、取り調べの過程で、どんなことを聞かれるのか。犯人は、すぐその場で逮捕される…?
■警察署で実際に聞かれたことは…
その後、被害届を出すと決めたAさんは、警察官とともにパトカーで最寄りの警察署へ。広い会議室のような部屋へ通されると、女性警察官と男性警察官がそれぞれAさんと犯人役を担当し、事件当時の状況を再現。
その際、どちらの手で体のどの部分をどのように触られたのか、容疑者の手はどのような動きをしたのか……など、非常にデリケートな聞き取り調査や、Aさんが現場の様子を絵に描いて説明するといった調査も行われたという。
また、「容疑者の手に(Aさんの)服の繊維がついている可能性もある」とのことで、Aさんは穿いていたズボンも調べてもらった。
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■「現行犯逮捕」は難しい
デリケートな部分まで全て話し、証拠となりそうな衣服も提出したAさん。容疑者の男は酒に酔った状態だったが、この時点では容疑を認めるような供述をしていたそう。しかし、警察官から告げられた言葉は「現行犯逮捕はできない」だった。
当時Aさんは警察官から、すぐに逮捕することが難しい理由について、「電車のダイヤが大幅に乱れており、正確な事件発生時刻が分からないため」だと説明を受けたという。
その一方で、警察署を出る際に女性警察官が「痴漢事件の場合は、被害を訴えてもそのことを職場に知られる心配はないので、安心してください」と説明してくれたそうで、常に女性警察官がいてくれたことは、とても心強かったとAさんは話している。
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■弁護士「準現行犯逮捕の余地はある」
Aさんが説明を受けた「正確な時間が分からないから現行犯逮捕できない」というのは、本当なのだろうか。Aさんの事件について、齋藤健博弁護士は「これは微妙です。現行犯逮捕はできないにせよ、準現行犯逮捕をする余地はあるでしょう」と指摘する。
「現行犯逮捕の要件は、現認状況、逮捕者にとって犯罪事実ならびに犯人であることが明らかであること、と定義されています。本件ではすでに犯罪行為自体は終わってしまっているでしょうから、刑事訴訟法212条に定められている現行犯逮捕の要件を充足することはたしかに難しい」とのこと。
一方で、Aさんへの対応について、齋藤弁護士は「正確な時間がわからないから、のロジックは不適法になりえます。そして、この場合には準現行犯逮捕を検討する余地があるでしょう」と強調した。
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