小川紗良、女優と映像作家の二刀流で輝く彼女が映像制作に行きついた理由

高校生のときに映像を撮り始めた小川紗良が映画『ビューティフルドリーマー』で、映研部員の主人公・サラを演じる。


 

■最初は「本当かな?」と思っていた

小川紗良

―――この映画は映画実験レーベルの第一弾作品という特別な位置づけの作品ですが、小川さんはどういった経緯で参加することになったのですか?

小川:本広監督が毎年開催されていた「さぬき映画祭」で、私が学生の頃から制作した作品や出演している作品をかけていただいていて、それを観てくださっていたのですが、そのときからずっと、本広さんが「映研の映画撮りたいんだよ」って、会うたびにやんわりとおっしゃっていて。


「本当に作るのかな?」と思っていたら、企画書がある日事務所に届いたので、本広さんが企てていたことが実現したんだなと思いながら参加させていただきました。


―――そのとき、本広監督としては、映研の映画をただ撮りたいだけでなく、小川さんと一緒にやりたいという意図もあったのでしょうか? 少しずつ小川さんをその気にさせていたのかなと(笑)。

小川:「紗良ちゃんと一緒にやりたいんだよ」と、ずっとおっしゃっていただいていました。でも、私は「本当かな?」とずっと思っていました(笑)。


そもそも、学生のときにサークルで映画を作っていた女優さんが他にいないので、そういう意味では当て書きしやすいというか、メリットはあったのかなと思います。


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■「Cinema Lab」はすごく大きな一歩

―――ずっと、そこまで本気にして聞いていなかったんですね(笑)。ところが、それが本当に実現して、しかもエチュードで物語を作っていくという、まさに実験的な企画だったわけですが、最初はどのように思いましたか?

小川:企画書をいただいたときもきちんとした台本があるわけでもなく、骨組みだけで、あとは役者が即興で作っていきますという感じだったので、本当にできるかな、どうなっていくんだろうっていう気持ちが一番大きかったです。


ただ、この「Cinema Lab」という新しいレーベルに関しては、これだけ自由にできる場はないので、それはすごく大きな一歩だと思いましたね。


―――小川さんがご自身のコラムの中でも、今の日本映画の製作環境について思うところがあるという風に書かれているのを拝読しました。

小川:女優をやっていても、監督をやっていても、なかなかいろんな縛りがあるとは感じます。


今回はベテランの監督が切り拓いてくださったんですけど、こういう場をさらに必要としている若手や女性の監督はまだこのレーベルにはいないので、同じような試みがそこまで届いていったときに、また本当に意味があるものになるのかなと思います。


―――そういう環境が生まれることで、また新しく素晴らしい作品も作られていくと思います。そういった場という意味もそうですし、その第一弾で扱った題材が映画製作の現場ということで、この映画を観て、製作側に興味を持つ人も出るのかなと思いました。

小川:そうですね。映画に限らずとも、何かを作るとか、何かに向かって、みんなが動くというエネルギーに溢れている作品だと思うので、自分がやりたいいろんなことに置き換えて、その夢を追いかける原動力みたいなものは生まれるんじゃないかと思います。

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■「私たちはどこに向かってるんだろう…」
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