中国が日本の石油を断ち切る恐れ 今こそ石油輸入先の多角化を

テロや内戦が続く中東で米国の存在感が希薄に。それを待っていた中国が最近中東で影響力を拡大し、日中関係悪化で中国が日本向け中東石油を略奪する可能性も。

2023/06/20 20:00


日本と中国の国旗

中東で影響を持つサウジアラビアとイランが3月、中国が仲裁する形で7年ぶりに国交を回復させることで一致した。



 

■止まらない中東諸国の“中国詣で”

サウジアラビアとイランは長年中東地域で覇権争いを展開し、両国関係が冷え込めば中東全体の安定が脅かされるとUAR(アラブ連合共和国)やカタールなど湾岸産油国は恐れてきた。すでに両国とも7年ぶりに大使を派遣し、外交関係が戻っている。

そして、サウジアラビアのファイサル外相とイランのアブドラヒアン外相が4月に北京で会談し、関係改善をさらに進めて行くことで一致したが、中東から遠い北京まで赴いて会談するという光景は、如何に中国が力を握りつつあるかを如実に示している。

こういった中東諸国も“中国詣で”はさらに活発化することだろう。


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■産油国を家来にした中国は何を狙うか

そして、今後中東でいっそう中国の影響力が強まれば、経済力で中東諸国を家来にした習政権は何を考えるだろうか。

周知のように、中国は日に日に日本に対する苛立ちを強めている。台湾問題であれほど日本に対して関わるな! と追求しながら、日本は“台湾有事は日本有事”の姿勢を崩しておらず、日中関係は間違いなく今後悪化する。

しかし、日本に対して武器弾薬を使えば国際的非難を招くことから、中国はまずは経済的攻撃を仕掛けてくる。中国は日本が石油の9割を中東に依存していることを熟知しており、今後日本向けの石油輸出を制限せよ、停止せよと影響力を強める中東諸国に対して圧力を掛け、日本を揺さぶってくる可能性がある。

石油なしに日本社会は成り立たない。今こそ石油輸入の多角化を進めるべきだ。

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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中

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