「男らしさ」を意識化して調整してみる  

2016/11/24 10:30


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zhudifeng/iStock/Thinkstock

■揺れる「男らしさ」に悩む男性

1950年代までは、戦後の焼け野原ニッポンを再興するため、頑固カミナリ親父たちが、自分の生活を顧みず、汗水たらして働いていました。1960年代以降1990年代まで、すなわち高度成長期およびバブル期には、男たちは「24時間働けますか?」なんてことを突きつけられて働いていました。

常に「男はこうあるべき」というガイドラインがありました。みんながそれを目指していました。

しかし働けば働くだけいい思いができる時代は終わりました。日本社会が成長期から成熟期に移行したからです。時代の変化とともに、「これからの男性は育児も家事もやらなくちゃ」というムードができたのは自然なことでした。

一方で、「男は弱肉強食の世界で稼いでなんぼ」「男は弱音を吐いてはいけない」など、強くて完璧な男性像を追い求める「マッチョイズム」が、男性の心の中だけでなく、女性の心の中にもいまだに深く根付いているのではないでしょうか。

20世紀型の男性像と、21世紀型の男性像の、いったいどちらを優先すればいいのか。現代の多くの男性が、その狭間で悩んでいます。結論から言えば、今の時点ではどちらも必要なのでしょう。

これからますます21世紀型に進化していかなければいけないことは確かですが、まだまだ20世紀型の男性像も必要とされるシーンは多いもの。残念ながら、現実に理想であらがっても、ストレスは増すばかり。

21世紀型OS(オペレーティングシステム)へのアップデートは進めていかなければなりませんが、20世紀型のOSを完全に捨て去ってしまうと、それはそれで不都合が多いのです。

つまり、両方の要素を兼ね備えたハイブリッドな男性像が今求められているのです。だから大変なんですね。


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■自分に「マッチョ度レバー」を取り付ける

20世紀型の男性像と21世紀型の男性像。相反する2つの男性像を1人の男性の中に共存させることはできるのでしょうか。

そこで発想の転換が必要になります。20世紀型の男性像と21世紀型の男性像をそれぞれ別個の男性像だと思うのではなく、1つの男性像の連続した2つの特徴だととらえてみるのです。

「冷たい」と「熱い」は相反する概念です。しかし、シャワーの温度調節では、「冷たい」と「熱い」は連続していますよね。あれと同じです。

仮に、21世紀型の男性像を「マッチョ度0」として、20世紀型の男性像を「マッチョ度10」と置いてみましょう。シャワーの温度を調整するように、時と場合によって「マッチョ度」を調整すればいいのです。

たとえば妻が、育児と家事と仕事でてんてこ舞いになっている場合。「男子厨房に入らず」という「マッチョ度10」の態度では、「俺が稼ぐからキミは働かなくていい」という解決策になるでしょう。

しかし「マッチョ度0」ならば、「毎日定時に帰って、僕が夕食の用意をするよ。週末は僕が子供の面倒を見るから、少し休んで」ということが解決策になるわけです。「マッチョ度5」なら中庸ということになります。

職場で、妊娠中の女性社員を気遣うときには「マッチョ度」を下げればいい。逆 に、競合他社とのコンペに向かうときには「マッチョ度」を上げればいい。

この考え方は、子供に対して「厳しい父親」であるべきか「甘い父親」であるべきかという二元論から脱却したいときなどにも使えます。

どの程度の「マッチョ度」でいればいいのかに正解はありません。その都度判断すればいい。判断に悩むことはあるでしょうが、白か黒かの二元論で思考停止に陥るよりはましです。

判断を誤ることもあるでしょうが、そうしたら、次から修正すればいいのです。

まあ実際のところ、現代社会においてマッチョが求められるのは、キッチンに出現したゴキブリを退治するときくらいではないかと思いますけどね。

<関連書籍>

ルポ父親たちの葛藤』 (おおたとしまさ著、PHP研究所刊、870円+税)

なぜ男性の「家庭進出」が進まないのか。

仕事と家庭の板挟みに悩む父親たちの本音、彼らに殺意さえ覚えるという妻たちの本音、理想ばかりを言っていられない会社側の本音、そして冷徹に世相を物語る数々のデータからヒントを見い出す。

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※この記事は全国のFMラジオネットワークJFNの「OH! HAPPY MORNING」のコラボ企画です。記事の更新は隔週木曜日10:30am。記事更新の約10分前から、おおたとしまさがこのラジオで記事と同様の話をおしゃべりします。

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(文/おおたとしまさ

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