映画スラムダンク、原作を1ミリも知らない地雷系女子の「意外すぎる批評」
公開後、絶好調の映画「スラムダンク」。原作を全く知らない地雷系女子に、同作の忌憚(きたん)なき感想を聞いた。
一時代を築いたバスケットボール漫画『SLAM DUNK』(スラムダンク)。映像作品としてはじつに26年ぶりとなる劇場版アニメ『「THE FIRST SLAM DUNK』が現在公開されているが、「この作品を一切知らない者」にとって本作はどう映ったのか。20歳の地雷系女子に映画の率直な感想を聞いた。
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■初週から好調のスラムダンク
3日から全国公開されている同作。直後の5日に発表された映画観客動員数ランキング(興行通信社調べ)では『すずめの戸締まり』『ブラックアダム』などの話題作を抑え、初登場1位。公開2日で観客動員数84.7万人、興行収入12.9億円を突破し、先週末の土日に最も見られた映画となった。
原作漫画は1990年から96年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載され、その後テレビアニメ化、4回に渡る映画化、さらにはゲーム化と空前のヒットを記録。当時の小中学生たちにとっては青春的スポ根漫画の代名詞であり、スラムダンクをきっかけにバスケ部へ入部する現象も珍しくはなかった。
26年ぶりの復活となる本作は、原作者・井上雄彦氏が脚本と監督を務める形で、セルルック(CGアニメーション)を駆使した最新版となる。
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■地雷系女子に見てもらう
まさに90年代に本作を履修してきたファンにとっては待ちに待った瞬間だが、今回はあえて本作を全く知らない2002年生まれ、今年20歳になった地雷系女子Aさんに同作を見てもらうことにした。MCMのピンクリュックを颯爽と背負って登場したAさんはスポーツ経験が一切なく、バスケのルールすら知らない。
チケットを渡して約2時間後、映画を見終わったAさんが出てきた。見た目はなんとなく満足げだ。しかしよくよく聞くと「映画見ながらチュロス2本食べた。普通に美味しかった」という。
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■「想像以上に面白い」
さて感想を聞き出す。ストーリーの詳細はここでは隠すが、ごく少しだけネタバレがあるので以下注意して読み進めて欲しい。
「見ている人はおじさんが多かったかな。結構泣いてる人いましたよ。私は泣かなかったけど最初思っていた以上に面白い作品でした。ポスターに出ていた5人(桜木花道、ゴリ、宮城リョータ、三井寿、流川楓)が格ゲーのキャラみたいだったので、もっと汗臭いようなスポーツものだと思っていたので」(Aさん)
誰が一番印象的だったか問うと「主人公のリョータかな。彼は漫画でも人気だったんですか? 小柄なのに頑張ってて」と…。すでに主人公が桜木花道だという原作の常識を取り違えている。
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■花道に共感
「でも赤い坊主の人(花道)が性格的には一番好み。破天荒で、元気で。それでいて健気。重圧を背負っているんだけど、気合で乗り越えている。笑いながら死んじゃうようなキャラ。『東京卍リベンジャーズ』の場地圭介みたいっていうのかな。『呪術廻戦』だったら虎杖悠仁」と続けるAさん。
彼女はこれまであまりスポーツ作品を見てきたことがないそうで、「そもそもルールがわかんないんですが、見ていてなんとなくこれは得点とか、そうじゃないとかはわかった。試合って普通に描いたらつまんなさそうじゃないですか? でもちょくちょくその背景とかが描かれていて、ドラマチックな試合により感じたし、感情移入できたかな」と評した。試合がつまらなさそうってどんな先入観なんだ…。
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■最後はなぜか辛口批評
一方で、物足りなさを感じた点も。
「『黒子のバスケ』ではキャラが髪の毛の色でわかりやすいんですよ。しかも特殊能力とかあって、目からビームが出たりする(笑)。でもスラムダンクは黒い髪の毛の人(三井と流川)の違いが途中までわからなくって、前髪の長さの違いで判断していた。それに加えて技もない。すごくリアルを追及したんだろうけど、あそこはマイナスかな」とエンタメ感が強い『黒バス』を引き合いに出し、衝撃的な視点も語った。
最終的に、ジャッジを聞くと「5点満点で2点。キャラの事前知識があったら3、4点にしてもいいけど、今まで見た中では3番目くらいにつまらなかった。私が頭悪いせいかもだけど」とAさん。「ちなみに過去1番つまらなかったのはドラえもんが海底に行くやつ(※編集部中・恐らく『映画ドラえもん のび太の人魚大海戦』)。あれは本当に意味不明で、映画館で寝た」と普段から少々厳しめな視点を持っているようだ。
ドンピシャ世代の記者は5点満点をつけたが、スラムダンクが残した栄光の軌跡を知らない層にとっては「ガチ過ぎるスポーツもの」として映った。しかしそのリアリティこそスラムダンクの魅力。映画版では今まで無い映像美と音でその分野を追い求めている。Aさんには原作コミックをいつか一度読んでもらいたいと強く勧め、映画館を後にした。
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(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤)