駆逐されていく言葉たち 「ロマンポルノ」に迫る危機【黒田勇樹の妄想的語源しらべぇ】
昔、映画の出演オファーを受け「台本を読んでから判断します」と返事をしたはずが、こちらに台本を送る前に、出演者名も役名も「黒田勇樹」にして印刷した台本を他のキャストに配り、なんなら俺の名前で他のキャストに出演OKさせた、某映画監督を一生許さないと心に決めている黒田勇樹です。
こんにちは。もちろん、オファーは断りました。
このコラムでは、子供の頃から芸能の世界で台本や台詞に触れ続け、今なお脚本家やライターとして「言葉」と向かい合っている筆者の視点から、様々な「言葉の成り立ち」について好き勝手に調べ、妄想をふくらませていこうと思います
自分の名前とかブランドってとても大事ですよね。今回はそんなブランディングに関するお話です。
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■「ナポリタン」改名の危機!?
皆、大好き、パスタの定番、ナポリタンが改名の危機に瀕しているというニュースを耳にされたことはないでしょうか?
どうやらヨーロッパの偉い団体が「自国の利益やイメージを守るために」、自国産のものでないものを「ヨーロッパの地名で呼ぶな」と主張しているようなのです。
そう考えると、他にも色々ありますよね。海外の地名がつくもの。
シャンパンとかスコッチとか、パルメザンチーズとかも呼び方が変わるかもしれないそうです。
エビアン(これも地名)などは逆に自国産のものがブランド化して、日本産の天然水が「FUJIYAMA」として売られているような状況ですから、問題ないのでしょう。
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■駆逐された「他国名」+「風俗」。でもまだ生き残りが・・・?
Photo by Takuma Kimura
そうなってくると思い出されるのが、「トルコ風呂改名事件」。
そう、ひとりの留学生が始めた抗議により、性風俗店を指す「トルコ風呂」が「ソープランド」と呼ばれるようになったあの事件。
近年「ダッチワイフ」を(ダッチがドイツ人を指す)「ラブドール」と呼ぶようになったのも同じような理由だそう。
これ自体は「性風俗に他国の名前を使うということは、人種差別にあたる」という至極真っ当な状況なのですが、ひとつだけ語源がマイナーなために世間の目を逃れている「他国名」+「風俗」が、あるのです。
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■「ロマンポルノ」とローマの関係
ロマンの語源て、ローマなんですよね! ローマっぽいを指す英語「ローマンティック」、それを日本人が「ロマン的」と訳し、いつしかロマンが一人歩き。
「男の浪漫」は「男のローマ風」なわけです!意味わからん。
この意味を知ってしまっては「ふんどしは男のロマンだ!」とか言ったら昔はこれぞ日本男子という姿を想像していたのに、もはやテルマエ・ロマエみたいな絵ヅラしか浮かんでこなくなってしまいませんか?
ローマ人が出てくるわけでも、ローマの伝統でもない日本独自の文化であるロマンポルノの呼称が、いつ改名の危機にさらされるのか。
筆者は、ギリシャにビクビクしているのです。ロマンポルノとはなんの関係もないけれど。
(文/ハイパーメディアフリーター・黒田勇樹)