「ものづくり日本」を肌で体感! 全国各地の工場見学イベントがアツい
ものづくり大国ニッポンの、いわば心臓部である中小の町工場。その町工場が近頃、日本全国で熱い。新潟県燕市と三条市からなる燕三条地域では、今年10月に「燕三条 工場の祭典」を実施。「工場の扉を開く」というコンセプトで、一般市民が普段は閉じられている工場を訪れ、職人の手業に触れてもらうイベントとして開催された。
岐阜県関市でも、11月5日からの4日間、初の工場見学イベントが行なわれた。名づけて「関の工場参観日」。関市は、刀鍛冶の元祖と言われる刀匠・元重が1229年に移り住んだと言われており、800年近い歴史を誇る「刃物の町」。そんな関市の誇る事業所の高い技術力や高品質な製品を、直に体感し、個性ある経営者や職人と接しながら知識を深めてもらうのが、このイベントの趣旨である。
主催は関市で、地元金融機関や商工会議所、NPOが企画に参画。さらに、全部で17企業が工場見学や子供でも楽しめるワークショップを実施している。そのうち8社は、刃物関連の製品をつくる企業だ。
しらべぇ取材班が参加したのは、最終日の午後ということもあってか、定員20名のバスは満席御礼。参加者の多くが60代以上だったが、工場の中に一歩入ると、子供も高齢者も変わらず真剣に話を聞き、機械を食い入るように見ていたのが印象的だった。
参加者は、地元の関市民から岐阜県在住者、筆者が住む愛知県から来ている人などさまざま。一人で参加していた地元在住の女性は、「刃物が地場産業とは言っているけど、実際に作っているところを見たことがなかったから」と話していた。
1社目に訪れたのは、デザインからプラスチックや木材部分の成型まで自社内で行い、ナイフ・包丁・ハサミを作っている丸章工業株式会社。テレビでも紹介される程の高品質のハサミは、なんと1丁18,000円!レーザーで花の形にカットされたハサミは確かに美しく、もちろん美しいだけでなく切れ味も抜群だ。
*画像出典:丸章工業
画像をもっと見る■同社の包丁を使ったデモンストレーションがこちら
水の入ったままのペットボトルを並べ、振りかぶったのは、普通の包丁。それを一振りして、ペットボトルを真っ二つにしてしまったのだ。その切れ味は、まるで刀!
2社目に訪れた有限会社エドランド工業は、衣食住に関わる刃物を大小さまざま少量多品種作っている。女性社員も多く、黙々と作業する姿はまさに職人のそれだった。無料のイベントにもかかわらず、2社とも自社製品のおみやげまでくれるという、充実のバスツアーである。
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■丸章工業とエドラント工業のおみやげ
日本の企業の99%は中小企業。その中には、独自の技術をもったものづくり企業が数多くある。けれど、「日本の強いものづくり」とはいうが、実際はその現場を見たことがないという人も多いはず。町工場はそれを体感する絶好の場、子どもだけでなく大人も、気軽に参加できるこういった企画が増えるのは大歓迎だろう。
都内でも、大田区が2012年から「おおたオープンファクトリー」というイベントを行なっており、今年は11月29日(土)に開催予定。お近くの方は、ものづくりの底力を体感しに出かけてみては、いかがだろうか?
*参考:「関の工場参観日」facebookページ
(取材・文/しらべぇ愛知支部・佐藤コボ)