何かを言っているようで言ってない!?【犯人は中肉中背】の意味を考える
何かを語っているように見えて、実はなにも語っていない。にもかかわらず、その場ではなんとなく納得してしまう。現代社会には、そんな無意味と思われがちな言葉が溢れています。
「コミュニケーションが大事」
「抜本的な構造改革が必要」
「地域の活性化が求められる」
「膿を出しきる」
「誤解を与える点があったとすれば謝罪する」
など、「で、具体的にどういうこと?」と思わずツッコミたくなるようなセリフはいつも私たちの身近なところに転がっています。
ほかにも、「無意味」とまではいかなくとも、言葉が指し示す範囲が広すぎるゆえ、何も言っていないことと同義のように捉えられがちな言葉が存在します。たとえば「髪が黒い少年」と聞いて、1人の人物を特定することは困難です。こうした言葉は、日本にいる少年のほとんどは髪が黒いので、「それでは数が多すぎるだろう!」というツッコミを受ける可能性があります。
さらに、テレビなどの事件報道で耳にする「犯人は中肉中背で〜」といった言葉にも違和感を抱く人がいるでしょう。「ふむふむ、犯人は痩せても太ってもいないんだな…って、それはほとんどの人がそうじゃないか!」というツッコミをする人が出てきてもおかしくありません。
以下の調査結果をご覧下さい。
【質問】
「犯人は中肉中背で」などという言葉は、何も特徴を言っていないのと同じだと思いますか?
そう思う:51.1%
そう思わない:48.9%
意見は真っ二つにわかれています。何も言っていないわけではない、けれども何か絞りきれていないかんじがする。「中肉中背」という言葉に対し、人々が微妙な感覚を持っていることがわかります。
「そう思わない」と答えた人の一人は「痩せているわけではないことと、太っているわけではないことが示されている点で、犯人逮捕に向けて一歩前進する言葉。意味がある」と答えます。一方、「そう思う」と回答した人は「絞っているけど数が多すぎる」と、意味の範囲を問題視します。両者の意見も一理ありますよね。
しかし、そもそも考えてみれば「中肉中背」という特徴しか持たない人物などまずいません。体型以外に髪の色や身長、年齢などの複数の特徴を掛け合わせれば意外と人物の特定はできるものです。
指し示す範囲が広い言葉については、単に聞き流すだけでなく、できるだけ「ツッコミ」をして厳密に対象を絞っていく不断の努力が、私たち聞き手にも求められているのかもしれません。
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2014年11月14日(金)~11月16日(火)
対象:全国20代~60代の男女1500名
(文/しらべぇ編集部)