【コラム】売れるのはAKBと嵐だけ?あいつらを除いたヒットチャートを作ってみた
「日本のヒットチャートは、AKBと嵐だらけ。やばくねえか?」
ここ数年、そんな話をよく聞く。たしかに、AKB48とそのファミリー、および嵐に代表されるジャニーズのタレントたちは強い。AKB48は、その握手券や投票券商法に批判的な声も集まっているのだが、そういうやり方で「売れてしまっている」のもまた事実だ。ジャニーズも、どの時代においても、女性たちが夢中になる男性タレントを生み出し続けている。
やや余談だが、大学時代、経営学の講義でPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント:ざっくり言うと、成長率と収益性で事業を分類する手法のこと)の事例としてジャニーズ事務所が取り上げられていた。そう、ジャニーズ事務所は、常に次の時代のアイドルを育成し続けているのだ。そして、(良い意味で)もうこれ以上の成長は望めないが、ファンに支持され続けているタレントたちも擁している。
さて、以下のヒットチャートだが、AKB48系とジャニーズ系を除いてみたら、どんな発見があるだろうか。オリコンチャートの上半期シングル、アルバムのそれぞれのベスト50から、AKBとジャニーズを抜いてみた!(「元順位」は、AKB48系とジャニーズ系を除く前の順位)
【シングルランキング】集計期間:2013/12/23付~2014/6/16付
【アルバムランキング】集計期間:同
どうよ、これ?
まず可視化される事実が、シングルチャートはたしかに、AKBとジャニーズだらけである。第19位にやっと、金爆ことゴールデンボンバーが登場する。ということは、AKBとジャニーズ以外で、シングルで一番売れたのは金爆ということになる。他は、20位以下で見ると、今度は「EXILE系だらけ」のチャートになっている。モー娘。や安室奈美恵も強い。
一方で注目されるのは、アルバム・チャートである。これは、ほぼAKB、ジャニーズ抜きでも、ありでもランキングが変わらない。洋楽の著名アーチストもほどよく入ってきている。RADWIMPSやMAN WITH A MISSIONなど、最近、売れているアーチストも上位にいる。アルバムは決してAKB、ジャニーズだらけではないのだ。
ただ、そのアルバムにおいても、他にももっと売れているアーチストっていなかっただろうか? そもそもアルバムは年に1枚、いやアーチストによっては数年に1枚出るものなので、このチャートだけでは判断できない。
そして、よく言われることであるが、音楽にお金をかける対象がCDからネット配信、何よりライブに動いているということが感じられるデータでもある。例えば、復活(再起動)してから快進撃を続けるLUNA SEAは、チャートに入ってはいるものの、アルバムセールスは5万枚程度と、決して他に比べると多くはない。だが、ライブはチケットがとれないことで有名だ。
この、アルバムを売るか、ライブのチケットを売るかというバランスはもちろん、アーチストによるのだが、そもそもCDのチャートだけを見ていて意味があるのかと突っ込みたくなってきた。
さて、10年後、日本のチャートはどうなっているのだろうか?
(文/常見陽平)
※画像はAKB48のシングルCD「ラブラドール・レトリバー」のジャケットです。