【村上春樹が翻訳】クリスマスに大切な人へ贈りたい心温まる物語

2015/12/12 06:30

村上春樹の翻訳本、と言えば、「ライ麦畑でつかまえて」を、大胆にも原題ママの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』に変え出版した、サリンジャーの名作を思い起こす人も多いかもしれない。

しかし彼の翻訳人生は、実は自身の創作活動とほぼ同時期にスタートし、その数は50本を超える

今回その中から、プレゼントにもうってつけな、心温まるクリスマスの短編2編をご紹介したい。

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■「トルーマン・カポーティ」とは?

村上氏が好んで翻訳を手掛ける作家のひとり、トルーマン・カポーティ。彼は1950年代に多くの作品を生み『早熟の天才』とうたわれた米国の作家である。

幼い頃両親から見捨てられ、南部アラバマで親戚たちに囲まれ暮らすという特殊な生い立ちを持つ彼は、その逆境の中で『最高の親友』を得ている。

今回ご紹介する物語には、クリスマスを背景に育まれる、その親友との温かな交流が描かれている。

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■『あるクリスマス』あらすじ

僕は年のはなれた親戚たちと一緒に暮らしている。その中のひとり、『ミス・スック』という60歳を超えたおばあちゃんとは大の仲良しで、最高の親友である。彼女との暮らしはとても楽しく、両親の不在という孤独とは無縁の毎日だ。

そんなある年、離れて暮らすお父さんから、彼の住んでいるニューオリンズで一緒にクリスマスを過ごそうとお呼びがかかる。

大切なクリスマスに大好きなおばあちゃんと離ればなれになるなんて考えられない僕。でもおばあちゃんはこういった。

「これも主の御心よ、行ってごらんよ」

そして6歳の僕は、クリスマスに、ほとんどよく知らない父親と過ごすことになる…。

子供らしい残酷さも手伝い、少なからず緊張感をはらんだストーリーとなっているが、ラスト数行で訪れる転調に、一瞬にして心を鷲掴みされるはずだ。

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■『クリスマスの思い出』あらすじ

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こちらには、先に登場したミス・スックと僕、そして愛犬のクィーニーが、クリスマスを前に紙面狭しと躍動する様子が描かれている

11月もおわりに近い朝がくると、『僕』の親友である『おばあちゃん』は高らかにこう告げる。

「ねえごらんよ!フルーツケーキの季節がきたよ!」

毎年、クリスマスのシーズンになるとおばあちゃんも僕も、そわそわして毎日が落ち着かない。なにしろ、これから30個もフルーツケーキを焼かなくちゃならないんだから。2人と1匹は、そのための準備で大忙し。
三人組は、もみの木を切りにいったり、よそのうちになるチコリの実を拾い集めたり、また、『罪深い店』を経営する大男の元に、ケーキに使うウィスキーを買いにいったりして、小さな冒険がいくつも繰り広げられる。

そしてクリスマス当日、お互いへのプレゼントのなんと素朴で心温まること

まるで、じゃれあいながらくるくるとせわしなく回る、3つの小さな駒を見ているような、そんな感覚を覚える可愛らしい物語。読めば、善も悪もなくただ愛に満ちていた頃の、無垢で純粋な気持ちがきっと呼び起こされるだろう。

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〜大切な人への贈り物に〜

今回ご紹介した2編は、銅版画家の山本容子氏の挿絵が入り、文藝春秋より単行本として出版されている。ストーリーもさることながら、装丁も美しい2冊。

聖なる夜。大切な人へこんな物語のプレゼントはいかがだろう。リボンをかけ花を添えれば、ささやかだけれど、心温まる思い出深い贈り物となるかもしれない。

(文/しらべぇ編集部・フクダかづこ

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