幻の日本酒「豊潤」酒蔵に潜入!20年越しの復活にかけた情熱に涙

2016/12/01 18:30

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大分といえば、日本一の温泉の湧出量を誇る「おんせん県」として有名だ。しかし温暖な気候や、豊富な水資源によって多くの特産品にも恵まれている。

なかでも日本酒は、約550年前に生まれた豊後練貫酒(ぶんごねりぬきざけ)を起因とし庶民に愛され、江戸時代には蒸米などを土の中に埋め熟成させる麻地酒(あさじざけ)製造が活発に。

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現在も多くの地酒が流通しているなか、休業した蔵に活気を取り戻したいと並々ならぬ思いで製造再開した酒蔵がある。


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■酒蔵見学へ

日豊本線の柳ヶ浦駅から車で徒歩5分。「小松酒造場」に到着すると6代目杜氏の小松潤平さんが出迎えてくれた。

こちらの酒造場は明治元年の創業。しかし昭和63年に当時の杜氏が体調を崩し酒造りが困難に。

小松さんが子供の頃から酒蔵は閉鎖していたが、学生の頃から「酒に携わる仕事がしたい」と思いが芽生え、県外の酒蔵で修行を積んだという。

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酒蔵を見学させていただくと、米の麹菌を繁殖させるための「室(むろ)」と呼ばれる部屋には甘く良い香りが。

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この部屋でコウジカビの胞子をふりかけて育てるそうだ。

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(写真は小松酒造場公式サイトのスクリーンショット)

デリケートな米の温度を調整するため毛布も常備されていた。製造工程の米は、まさに「生き物」として大切に扱われている。

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室で米麹を作ったあとは水・酵母・米麹を用いて「酒母」(しゅぼ)造り、ここで酵母を培養する。

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酒母のタンクは甘酒のようにフルーティーな香り。

12月中頃に発売される「五百万石」というお米(酒造好適米)を使用した初しぼり無濾過生原酒が大切に寝かせられていた。

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洗米の吸水率はストップウォッチを使い秒単位で浸透させたり、伝統の「三段仕込み」で仕込み、そこからアルコール発酵を1ヶ月近くかけて行なったうえで濾過するなど最後まで大切に寄り添い作られていく。


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■贅沢飲み比べ

いくつもの製造工程を重ね丁寧に作られた日本酒を試飲させていただくことに。

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「豊潤 特別純米おりがらみ」は、細かくなった米や酵母などの小さいな固形物が浮遊し白く濁っている。

微炭酸で、果実のように爽やか。澄み切った旨みで後味が鼻から抜けシャープな味わいだ。女性からの人気も高いという。

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レア酒「豊潤 特別純米 大分三井」も試飲させていただくことに。

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栽培方法が難しいことから昭和40年代に一度姿を消した米だが一握りの種籾から復活へ取り組み、ようやくお酒を仕込めるだけの量を収穫できるようになった貴重な米「大分三井」を100%使用している。

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現在は小松酒造の酒を作るためだけに復活させた米を用いた酒は、辛口だが熟成によりほのかに甘みも感じる絶妙なバランス。「食中酒」をコンセプトにしているという。


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■復活にむけた思い

デリーケートな製造工程に個性豊かな酒の数々。復活させるのは相当の苦労があったのでは?

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小松さん「そうですね。リアルな話、資金面や販売ルートを作るということだけでもわからないことだらけ。


家族一丸となって見通しが経ったら今度は酒造りで課題が。県外の酒蔵で働き身体に染み込ませていた方法と同じ作り方をしても、想像と違った酒が出来てしまうんです。


水や気候、整備でこんなに違ってしまうんだ…と痛感してからは、味がぐらつかないように『決まった味を出す』ため試行錯誤を重ね記憶にないほど大変でした(笑)。


なんとかこの酒蔵も新しく生まれ変わることができましたが、今後もバリエーション豊かな酒作りに挑戦していきたいです」


既存の顧客はゼロからの状態で再スタート。「小松酒造場」は酒蔵見学も可能で、ブランド「豊潤シリーズ」は全国の取扱店で流通している。

気になる方は、ぜひ飲んでみては?

【小松酒造場】
住所:大分県宇佐市大字長洲3341
蔵見学希望の場合は要予約。

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(文/しらべぇ編集部・大木亜希子

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