フットボールの源流?フィレンツェ式カルチョが激しすぎ
2016/10/10 05:30
サッカーやラグビーなどのフットボールスポーツの起源は、諸説ある。
だがその中でも、最も過激かつ珍妙な説は「フットボールはカルチョ・ストリコ・フィオレンティーノから分岐した」だろう。
このカルチョ・ストリコ・フィオレンティーノは、イタリアの都市フィレンツェの古式フットボールとして今も試合が行われている。だが、その光景は「本当に球技か?」と悩んでしまう。
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■ほとんど総合格闘技
フィレンツェ式フットボールの基本ルールは、コートの中で敵陣までボールを運ぶこと。このあたりは、サッカーやラグビーと変わらない。
だが、この古式フットボールには「卑怯な手を使うな」という規則しかない。そのため、両チーム合わせて54名のプレイヤーがボールをよそに取っ組み合いを始めてしまう。選手はボクシングやレスリング、ブラジリアン柔術、MMAなどからヘッドハンティングしてきた者ばかり。
ボールの行方とはまったく関係のないところで、スタンディングからのタックルに移行し押し倒して袈裟固め……なんてプレイも反則にならないのだ。
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■コートの中はカオス状態
試合がエキサイトすると、もはや7人の審判のコントロールなしには進行不可能。ある者はマウントポジションからパンチを食らわし、またある者は相手にがぶってギロチンチョークをかける。
あまりに激しすぎる競技のため、フィレンツェの外には全く普及していない。さらに年間を通してできるものでもなく、6月第3週に3試合が行われるのみである。
ただ、地元では「カルチョ・ストリコこそサッカーとラグビーの源流!」という論調が強い。16世紀にはカトリックの高位聖職者もこのフットボールをプレイしていたという。
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■ローカルスポーツの面白さ
このように、世界的に普及していないローカルスポーツには目を疑うものも存在する。
また、「これこそがあのメジャースポーツの原型」とされるものもあれば、フィンランドのペサパッロのようにメジャースポーツから分岐したローカルスポーツも。いずれも「どうしてこうなった?」と思わせるルールで、それぞれの民族性が垣間見える。そうした楽しみが、ローカルスポーツにはあるのだ。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)