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離婚した父娘が無理心中? 面会交流と「単独親権」の問題点を弁護士が解説

離婚後に子供の親権を奪い合う「単独親権」の日本に対して、先進国の多くは「離婚後共同親権」を採用。

社会

夫婦喧嘩

(DragonImages/iStock/Thinkstock)

レイ法律事務所、弁護士の高橋知典です。先日、兵庫県伊丹市で、離婚して面会交流中の父親が4歳の娘と心中する痛ましい事件が起きました。

 

■「単独親権」と面会交流

子供がいる家庭で、両親が離婚した場合、どちらか一方の親が子供の親権を持つことになります。もっぱら母親が親権を持つようになるのが、日本の現状です。

このように、一方の親だけが親権を持つことを「単独親権」といいます。

親権を持たない親(より正確には子の監護者ではない親)は、面会交流という場面の中で、子供に会う機会を確保することになります。

今回の事件は、この面会交流の場面で無理心中が発生したとみられており、ひいては面会交流という制度そのものが危険ではないかとみる向きがあります。

 

■単独親権・面会交流・養育費が絡み合う問題点

ではこのような事件に対する考え方として、「面会交流の制度そのものが危険である」という判断は、アリなのでしょうか。

今回の事件は現在も捜査中ですので言明は避けますが、一般的な離婚事件を担当する中で、現在の日本の単独親権、面会交流の制度、養育費の支払い制度はかなりの問題を抱えていることを感じます。

離婚において親権が争われている場合、子供が「両親と一緒がいい」と思っていたとしても、親としては、「自分と一緒にいれば幸せ」「相手方が洗脳している」など、子供の意思を自分の都合のいいように解釈してしまっていることがあります。

なぜなら、親権を得るために、両親は互いに、「相手がいかに親として失格か」を一生懸命主張しなければならない状況にあるからです。

現在の日本の制度は、「家族であった人たちの争い」としてはあまりにむごいものになっていると感じます。

 

■泥沼化する親権争い

高橋弁護士

このように、子供にとってあまりにも酷な状況を生んでいる原因の一部が、「単独親権」と「面会交流の確保ができない」という点にあるように思われます。

日本においては、親権を持った親のもとで子供は育てられるので、親権を持たない親が子供と会うには面会交流が必要になります。しかし、面会交流の機会は親権を持った親の協力がないと確保することが困難です。

ひどい例では、親権者が「あの人はあなたたちを捨てた。あの親に会うならもう面倒は見ない」などと子供の気持を折り、子供に「会いたくない」といわせている場合さえあるようです。

このような結果も想定できるがゆえに、離婚時の親権争いは熾烈を極めるのです。

 

■先進国の多くは「離婚後共同親権」

一方、多くの先進国は共同親権の制度を採用しています。これは、「離婚をしても親は親、子は子」という考え方から、両親ともに親権を持っているのと同時に、養育の義務を持っていることを前提にしています。

実際の共同親権は、国によってその内容が異なるため、「単独親権」「共同親権」という言葉だけに振り回されるべきではありません。

しかし、今後の流れとして、親権を争う必要性の低下、よりシンプルに言えば「親権を手放しても、子供との繋がりを手放す必要はないという親権の在り方や面会交流の在り方」が求められていると考えています。

今回の事件を踏まえて、面会交流の実施には、より厳しい目が向けられるかもしれません。面会交流のやり方については、もっと安全面が考慮されるべきでしょうが、面会交流の制度自体に対する攻撃の議論は、問題の根底に迫るものではないように感じます。

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(文/レイ法律事務所高橋知典弁護士

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